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【ナイルの風 中東のまつりごと】(2)「警官の暴行・拷問」ブロガーが告発 (1/3ページ)

2008.9.29 07:40
このニュースのトピックス脅迫・強要
2004年6月26日、国連の「拷問の犠牲者を支援する国際デー」にカイロ市内の最高裁判所前で初めて行われた大規模な抗議集会(ブロガーのホサム・ハマラーウィ氏撮影)2004年6月26日、国連の「拷問の犠牲者を支援する国際デー」にカイロ市内の最高裁判所前で初めて行われた大規模な抗議集会(ブロガーのホサム・ハマラーウィ氏撮影)

 ■政府の油断をついた

 「最近、治安機関も干渉してこない。彼らがあきらめたとは思っていないけど…」

 エジプトの警官によるさまざまな拷問や暴行を告発する専門ブログ「エジプトの拷問」を運営する女性ブロガー、ノハ・アーテフ(24)は苦笑した。

 ノハがブログを始めたのは、名門アインシャムス大学を卒業して間もない2006年。この年の11月、裸にされたバス運転手のむき出しの下半身に警官が虐待を加える映像がネット上に流出し、ノハもブロガー仲間から入手した映像を自分のブログに転載した。

 別の運転手と警官の口論に巻き込まれ、警官に逆恨みされた事件で、映像は居合わせた同僚の警官が面白半分で撮影したものだったらしい。当局はこの映像を無視できなくなり、警官を逮捕せざるを得なくなった。

 ノハはその後も、自白を強要する警官らによる拷問などの事例を地道に集め続け、国際人権団体からも注目されるブロガーとなった。警官の実名を容赦なく暴露し、場合によっては被害者たちの体に残る生々しい傷跡の写真も掲載する。告発するだけでなく、政府への補償請求など裁判情報も丹念に追い続ける。

 「日常化している警官の暴行に黙っていられなかった。人権団体と連絡を取っているうちに、被害者の家族などから直接、情報が入るようになった。信憑(しんぴょう)性は、できるだけ関係者に会って確認するし、人権団体やマスコミが協力してくれることもある」

                   ◇

 「警官の暴行や拷問」は長年、国民の口にのぼってきた。当局は今も、この問題を「単発の不祥事」と片付けようとするが、社会の暗部に切り込むノハのブログは問題が根深いことを白日の下にさらし、ノハ自身は治安機関から“危険分子”としてマークされることになる。

 ノハや家族のもとには内務省管轄の治安機関から「会って話がしたい」「娘をだまらせろ」といった脅迫めいた電話が入るようになった。ノハは「両親に心配をかけるのが心苦しかった」と振り返るが、昨年、父親が病死して以来、不思議なことに治安機関からの直接的な接触は途絶えた。

 英字紙デイリー・ニュース・エジプトの編集長、ラニヤ・マリキ(36)は「かつてのエジプトの常識ならもっと激しい“弾圧”があってもおかしくなかった。ノハが逮捕されなかったこと自体が驚きだ」と語る。80、90年代、エジプトを揺るがしたイスラム過激派を容赦なく弾圧したこわもての治安機関は、なぜ黙っているのか。

 確かに当局はたびたびブロガーを拘束し、牽制(けんせい)を繰り返しているものの、起訴まで持ち込まれたのは1件だけだ。イスラム世界最古の最高学府の流れをくむアズハル大学でイスラム法を学んでいた男子学生が「自由な考え方を抑圧するアズハルなど、ごみ箱に捨ててしまえ」と強烈に批判し、昨年2月、宗教侮辱などの罪で禁固4年の実刑判決を受けたケースだ。だが、これも社会の建前となっているイスラム教を攻撃したという特殊性があったから可能だったとの見方もある。

このニュースの写真

2004年6月26日、国連の「拷問の犠牲者を支援する国際デー」にカイロ市内の最高裁判所前で初めて行われた大規模な抗議集会(ブロガーのホサム・ハマラーウィ氏撮影)
警官による暴行や拷問を告発するノハ・アーテフさんのブログ「エジプトの拷問」。「今年8月、カイロ南郊外に住む写真の男性が、隣家を訪れた警官2人に隣人の男性が激しい暴行を受けれているのを見て止めに入ったところ、自分も暴行を受けて負傷した事件」を紹介している
拷問専門のブログを続けるノハ・アーテフさん(村上大介撮影)
デイリー・ニュース・エジプト編集長で、ブログ研究家でもあるラニヤ・マリキさん(村上大介撮影)

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