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【産経抄】9月21日

2008.9.21 02:41
このニュースのトピックス産経抄

 それぞれの思いは異なるにしても、その「病状」に世界の注目が集まりだしてもう10日余りが過ぎた。むろん北朝鮮の金正日総書記のことである。「意識がない」から「歯磨きはできる」まで情報はさまざまだが、いまだにはっきりしない。

 ▼北の当局や情報を得ているはずの中国がほとんどコメントしていないからだ。それどころか、板門店での南北実務者協議に出席した北朝鮮外務省の副局長は記者団に対し、健康悪化説について、こう答えたそうだ。「わが国がうまくいかないように願う悪人らの詭弁(きべん)だ」。

 ▼一方、北京では総書記の長男、金正男氏の姿がしばしば見かけられているという。テレビカメラにとらえられたこともある。そのため「わざと北朝鮮を離れることで重病説を打ち消そうとしている」という見方もあるらしい。だとすれば、何とも念の入ったことである。

 ▼もっとも要人の異変を隠すことは、独裁国の得意とするところだ。中国も1971年、毛沢東主席爆殺をはかって失敗、逃走中に飛行機で墜落死した林彪副主席の事件を1年近くも隠蔽(いんぺい)した。このときも国連代表団が異変説を笑い飛ばす「演技」までしている。

 ▼日本でもかつては、天皇や将軍の健康問題はトップシークレットだった。しかし明治45年の夏、明治天皇の病状が悪化すると、体温などの症状が官報やマスコミを通じ刻一刻、詳細に発表された。それを知った国民はご快癒を祈り、国への思いを新たにしたのだった。

 ▼体制の違いはある。後継者が決まっていない段階での症状発表が混乱を招くのも怖いのだろう。だが、国の最高指導者の健康状態を国民が共有することは、近代国家として生きていくための第一歩となるのだ。いやこれは「詭弁」でなく。

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