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【私はこう見る 独裁者の病】「権力の空白」感じない グリン・フォード欧州議会議員 

2008.9.17 18:13
このニュースのトピックス金正日総書記
グリン・フォード欧州議会議員グリン・フォード欧州議会議員

 今月9日、北朝鮮の金正日総書記が建国60周年に姿を見せなかったことで、重病説が広がっている。一部で8月14日に脳卒中で倒れたとの報道もあるが、果たしてそうだろうか。私は懐疑的に見ている。

 というのも、私は個人的に8月1日から2週間にわたってニューズウィーク日本語版のカメラマンとアルジャジーラ・インターナショナルの記者の計3人で平壌、東海岸など北朝鮮の各地を訪れ、外務副大臣ら外務省高官や朝鮮労働党、最高人民会議の関係者に会った。

 8月5日ごろに行われたマスゲームにも金総書記は姿を見せなかった。しかし同月下旬以降も寧辺の核施設の無能力化を中断したり核施設の封印を撤去するなど、金総書記にしか決められない最高レベルの政治判断が行われている。

 昨年6月、ドイツの医療チームが訪朝し、極秘裏に金総書記の心臓手術が行われたとの報道があったが、このときは核問題をめぐる6カ国協議の再開が滞るなど「権力の空白」が生じていた。今回、金総書記が急に倒れた可能性も否定できないが、昨年にみられた「権力の空白」が私にはまったく感じられない。

 金総書記は健康不安説を払拭(ふつしよく)するため建国60周年には必ず姿を現すと世界が注目していた。一筋縄ではいかない金総書記がこうした観測を混乱させようと、わざと出席を見送った可能性もあるのではないか。

 8月に訪朝した際、北朝鮮側は6カ国協議で合意したのは施設の破壊と理解しており、米国があらゆる施設への立ち入り、大量破壊兵器に関する技術者や科学者の聴取を行えると考えているとしたら筋違いだと強調していた。

 私は韓国の金大中元大統領と知り合ったのがきっかけで25年間、北朝鮮とかかわっている。訪朝歴は十数回にのぼる。今年3月と8月に平壌で北朝鮮にとどまる日航機「よど号」乗っ取り犯4人のうち小西隆裕、若林盛亮両容疑者と会見した。北朝鮮は、米国のテロ支援国家指定解除の障害になっているよど号犯を日本に帰国させたがっている。

 2人は当時犯した過ちを認め、日本に帰国した後、裁判を受けることも覚悟している。しかし、日本人拉致事件への関与は否定しており、(若林容疑者の妻、佐喜子容疑者らに対する)逮捕状の取り消しを日本政府に求めている。こうした話ができたことも重病説を疑う理由の一つだ。(談)

 グリン・フォード。58歳。1984年から欧州議会議員。北朝鮮専門家。英与党、労働党に所属。著書に「北朝鮮 ゆるやかな改革」がある。

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