ニュース: 国際 RSS feed
【産経抄】9月11日
このニュースのトピックス:産経抄
徳川家康の生涯には謎が多い。なかでも不可解なのは、関ケ原の戦いを境にして、正反対の行動を取り始めたことだ。それまで子供に冷たかった男が、この時期以降に生まれた子供には深い愛情を注いでいる。
▼好みの女性のタイプも変わった。なにより、最後の敵のはずだった豊臣家との和解につとめるようになった。家康に限らず、隣国との戦いに明け暮れていた戦国大名には、影武者の存在が欠かせなかった。油断すれば、家臣にさえ寝首をかかれる恐れもあったからだ。
▼もし、関ケ原で家康が死に、影武者がその後の15年間を、家康として生きたとしたら、どうだろう。作家の隆慶一郎さんは、そんな仮説をもとに『影武者徳川家康』を書き上げたという。北朝鮮の金正日総書記(66)にも、数人の影武者がいるといううわさは以前からあった。暗殺やクーデターに備えてのことだ。
▼いや、10年以上前から、北朝鮮専門家とジャーナリストの間では常識だった。そういうのは、30年にわたって北朝鮮を取材してきた元毎日新聞記者の重村智計(としみつ)・早大教授だ。それどころか、新著の『金正日の正体』(講談社)では、総書記がすでにこの世になく、影武者が擁立されている可能性にまで触れている。
▼にわかには信じがたい情報だが、“物証”もあり、最近の北朝鮮の決定や外交から、金総書記らしさが見られなくなったことの、説明もつくという。北朝鮮建国60周年の閲兵式に、本人が姿を現さなかったことから、今度は米国から、新たな「重病説」が流れてきた。
▼かの国に、何らかの異変が起こっていることは、間違いない。自民党の総裁選が始まったといっても、日本の「最高司令官」は、福田康夫首相だ。引きこもっている場合ではない。