ニュース: 国際 RSS feed
李政権の支持率上昇 巻き返しへ全力
【ソウル=黒田勝弘】韓国の李明博政権はこのところ支持率が30%台に回復するなど、政権安定化の兆しを見せている。米国産牛肉輸入問題で政権を揺るがせていた反政府デモは沈静化し、4月の総選挙の後、野党の抵抗で長期空白が続いていた国会も正常化に踏み出した。近く新政権としての「新政策100大プロジェクト」を発表するなど、本格的な巻き返しに乗り出す。
李明博大統領は昨年末の大統領選では圧勝した。しかし2月に政権が正式スタートした後、側近や閣僚など人事が世論の不評を買い、さらに米国産牛肉輸入問題をめぐる「狂牛病恐怖」をきっかけに、野党や反政府勢力による大規模な反政府デモに見舞われた。
反政府デモは4月以来、3カ月以上も続いた。ソウル都心は連日、デモ隊に占拠され政権を揺さぶった。その間、政権の支持率は20%を切るまでに急落し、反政府勢力は早くも「政権退陣」を叫ぶにいたった。
しかし反政府デモの暴力化に世論の批判が広がり、デモの勢いが弱まる一方、日本との竹島・独島領土問題が再燃し、マスコミなど世論の関心が“反日・愛国”に向かった。
マスコミをはじめ世論は牛肉問題や反米では“国論分裂”で激しく対立したが、領土問題をめぐる反日では見事に“国論一致”を見せた。8月になるとこれに北京五輪が加わった。世論は韓国選手の活躍に「勝った、勝った」と熱狂し、国民一体となって愛国心をくすぐられている。
この結果、春以来の牛肉・反政府デモは実質的には収束した。北京五輪で世論が気分を良くすることによって“独島反日”も峠を越した。2002年W杯サッカーの時も、韓国の大活躍で金大中政権の支持率が大きく上昇したことがある。
李明博政権にとっては総選挙で与党が過半数を占めたにもかかわらず、牛肉反政府デモに便乗した野党の抵抗で国会がマヒし政権運営に大きな支障となっていた。しかし国会は委員会構成で与野党がやっと合意し動きだした。
領土問題をめぐる世論の反日ムードからストップしていた対日外交も国内情勢の落ち着きで正常化の方向だ。9月中旬、日本で開催予定の日中韓3国首脳会談についても準備を始めている。