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【正論】グルジア危機 冷戦再来を防ぐ関係国の思惑 北大名誉教授・拓殖大学客員教授 木村汎 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:正論
すわ、「新冷戦」のはじまりか? ロシア軍のグルジアへの軍事侵攻をみて、気の早い人々は騒いでいる。だが、現在の状況が旧冷戦と異なっている点が少なくとも一つある。それは、米国、ロシアの力がそれぞれ低下しているために、米露を頭とする二大陣営に属すると思われるメンバー諸国が足並みの乱れを暴露していることである。
ロシアは、グルジアが2003年の「バラ革命」以来、ロシア離れ、西側接近の傾向を加速していることを苦々しく思い、それを罰するチャンスを待ち受けていた。そのようなロシアの挑発に乗るかのように、グルジアのサーカシビリ大統領は8月7日、米国に事前に相談することなく、南オセチアにたいする無謀な武力攻撃を開始した。
ブッシュ米政権がグルジアの「民主化」に異常なまでに肩入れし、北大西洋条約機構(NATO)加盟を実現させようとしている好意をぶち壊す行為であった。
グルジア、ロシア間の軍事衝突にたいして、その他の国々は一体どのような反応を示しているのか。自国が置かれた状況や思惑に従い、てんでんばらばらの行動をとっている。
制裁に不熱心な欧州連合
まず、米国。ブッシュ大統領はレイムダック(任期満了を前にして実力を失っている政治家)状態にある。そうでなくても、アフガニスタン、イラク、イランその他の問題でロシアの協力を期待せねばならぬ立場に身をおいているために、ロシアにたいして毅然(きぜん)たる態度を取りえない。
ドイツ、フランス、イタリアなどの「旧ヨーロッパ」諸国は、ロシアに天然ガス・石油を依存しているために、エネルギーを武器に用いるプーチン式外交の虜(とりこ)と化している。これらの諸国は、ロシアの反発を恐れるあまり、もともとグルジアとウクライナのNATO加盟にも熱意をしめしていなかった。

