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【記者ブログ】北京五輪 100年の夢の跡に何がのこったか? 福島香織 (1/4ページ)

2008.8.29 00:34
このニュースのトピックス福島香織の北京特派員記者ブログ

■本当は25日にアップする予定だった、五輪総括エントリー。楽しかったね。予想に違わずつっこみどころ一杯の北京五輪でした。個人的に一番うけたのは、体操選手の年齢詐称疑惑について、中国人から極めてまじめに、「中国の地方によっては、実年齢に2〜3歳を加える数え方をとるところがある」と説明を受けたことです。たとえば1月某日に生まれ、1ヶ月後に旧正月をむかえるとその時点で、2歳だそうです。本当に農村にはそういう習慣があるそうです。もともと、誕生日も不明で、戸籍のない子供もけっこういる世界ですからね。

■北京五輪 

つわものどもの夢のあと、には屍るいるい。

国際社会の批判の洗礼を受けて

この屍を乗り越えてゆくのだ!

■17日間の真夏の夜の夢が終わった。難癖をさんざんつけた北京五輪だが、正直、競技のさなかは、美しく鍛え抜かれたアスリートたちの熱戦に魅了され興奮した。陸上界を席巻したジャマイカ旋風や、日本女子ソフトボールの鬼神のような闘いぶり、半魚人フェルプス選手の8冠達成など、つくりものでないドラマは、これほど人の心をゆさぶる。五輪開幕式の視聴率が98%、閉幕式が80%以上。会場に足が運べた人は極めて限られていたが、多くの中国人たちがテレビにかじりついて熱狂したのだろう。

■だが、閉幕式で宋祖英とドミンゴのデュエットを聴いたとき、VIP観客席に、老いたかつての最高指導者の姿をみたとき、私は夢から目が覚めた。ああ、北京五輪は、やっぱり共産党の、共産党による、共産党のための五輪(権力者の権力者による権力者のための五輪)であると。莫大な財を投入し、膨大な人民を動員した今世紀最大のアトラクション。ある人が、こう指摘した。北京五輪をみていると、奴隷に闘わせ、皇帝の寵姫を彩りとし、皇帝の権力を国内外にしめすと同時に、市民に享楽を与えるサーカスとなす、古代ローマの剣闘競技を思い出す、と。

■農村からかき集めた子供たちをステートアマ体制で鍛えあげ、競わし、その闘いぶりで観客を熱狂させ、権力者の力を誇示し、民衆の求心力を高め、国威を示した。奴隷出身の剣闘士(グラディエーター)が勝ち上がれば、皇帝に謁見もできる天下の英雄とあがめられるように、貧しい出身の選手も金メダルをとれば国家の英雄の称号と富を与えられる。奴隷は自由のために、農民は貧困からの脱却のために、自らの肉体を鍛えいじめ抜いて勝たねばならないのである。奇しくもあの「鳥の巣」はコロシアムの形にも似ている、と。

■ローマ帝国の滅亡の背景にはコロシアム建造など、大量の土木工事および建造物の維持費がかさんだことによる財政疲弊もあったことをごぞんじだろうか。ローマ帝国を滅亡に導いたコロシアムをモデルにブリューゲルはかの有名な「バベルの塔」を描いたが、北京五輪の閉幕式でも「人間バベルの塔」が現れた。人がその分をこえて天にも届かんとする塔を築こうとして、神の怒りを誘ったという旧約聖書にある伝説の塔・バベル。だから、それがコロシアムににた鳥の巣の真ん中に現れたとき、いわくいいがたい予感にかられたのである。これは予言夢?総合演出を担当した張芸謀監督のブラックユーモア?

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