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【記者ブログ】被災地からもどってきて(5)哀悼のきもちが中国を変える 福島香織 (1/4ページ)

2008.6.22 00:30
このニュースのトピックスなんでもNo.1

■日本の岩手・宮城地震を知ったのは、家のテレビでNHKの週刊ブックレビューをみていたときだった。速報があり、おお日本でも地震だ、これは大きいと、釘付けになった。しかし、本当にびっくりしたのは、本震のあとの地震警報で、NHKのアナウンサーが、「まもなく強い地震がきます。身の安全確保をしてください。時間がありません。身の安全確保をしてください」(うるおぼえ)と言い出したことだった。そして、本当にまもなく、大きな余震があった。しかし、じゅうぶん、机の下にかくれるくらいの時間はあった。

■この国にNHKを見ることのできる人はどのくらいいるかは知らないが、これをみた知人の中国人は「日本ってすごい!」と驚いていた。実際、翌日からの中国メディアは岩手・宮城地震の死傷者の少なさ、倒壊建物の少なさを感嘆し、日本を見習え!と、一時おさまりかけていた日本賛美が再燃しかけている(東シナ海ガス田開発合意でまた揺り戻すかもしれないが?)。新潟・中越地震のときは、ざまあみろ、天罰だ、とかインターネットの掲示板には悪態をつく人も結構いたが、自分たちが大地震の恐怖を知ったあとだと、やはり日本の地震防災技術に対して敬意をいだかずにはいられないのだ。中国はさっそくこの日本のシステムを導入することを決めたようだ。

■さて、今回の四川大地震関連で、中国人が社交辞令でなく本当に「日本ってすごい!」と思った点は、この地震速報のなど技術面のほか、日本救援チームがかいまみせたような「死者に対する敬意」がある。新華社がながした、日本の救援チームが震災の犠牲者の遺体に黙祷する写真には、中国の普通の人々は本当に感動したのだ(と私は感じている)。愛する人を失った悲しみは、国籍が違っても同じということである。このあたりを今回は考えてみよう。

■哀悼のきもち、それが「普遍的価値」

五輪では変われない中国を

大地震が変える可能性

■中国に「死者にむち打つ」という故事があるものだから、中国人は遺体の扱いがぞんざいで、死者に敬意を払わないのではないか、と思われているようだが、日本人と若干表現のしかたが違うだけで、実は死者に対する哀悼の念や、遺体を大切にする思いはなかなかつよい人々であると、私は思う。

■たとえば張楊監督の「落葉帰根」という映画は、比較的最近の事実をモデルにしている。これは東北の出稼ぎ農民が出稼ぎ先の深センで死亡して、同郷の同僚がその遺体を背負って故郷に連れて帰るというちょっと奇妙なロードムービーである。このように、被災者が遺体を背負う姿は今回の四川大地震でもしばしばみられた。私が直接目にしたわけではないが、家族の遺体を背負って避難する被災者の様子は写真や記事を通じて中国で報道されている。それは珍しいことではないのだ。

■農村にのこる「陰婚(昏婚)」(未婚男性が死んだ場合、あの世で結婚させるため、女性の遺体を買って一緒に埋める)という習慣は、女性蔑視であり、私は許せないが、見方をかえれば、死者への哀悼のひとつの形である。

■私が初めて被災地・都江堰入りしたのは地震発生日から7日目の18日。つまり初七日。午後8時ごろ、日の暮れるのが遅い四川で、ようよう空がスミレ色にかわりはじめるなか最初に目にした印象深い光景は、瓦礫のはたで、もくもくと紙銭を焼く人々の姿と、ゆらめく炎だった。ある男女が紙銭を焼いているところに近づいた。

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