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【主張】中国全人代 民主重視を貫徹すべきだ
中国の第11期全国人民代表大会(全人代=国会)が5日開幕、温家宝首相が政府活動報告で物価急騰や「食の安全」などの民生問題を重視する政策を打ち出した。過去5年間の2ケタ経済成長のひずみが噴出し始めているだけに、対策が後手に回らないよう望みたい。
一方、今年の国防予算が前年比17・7%も急増したことには懸念を禁じ得ない。その半分を民生対策に回した方がよほど国家と社会の安定と安全に寄与するはずだ。
中国の消費者物価指数(CPI)は昨年半ばから急騰し、今年1月は前年同期比7・1%増と11年ぶりの上昇率を記録した。ここ数年の国内投資の過熱に資源・農産物の国際相場急騰が重なり、政府の引き締め政策にもかかわらず沈静化の気配はない。
暴騰した株価や不動産相場が昨秋から陰り始めているのも気がかりだ。庶民は資産の目減りとインフレのダブルパンチを受けて政府への不満を強めている。温家宝報告が民生重視を明確に打ち出したのもこのためだ。今年のCPI上昇率を昨年の年間上昇率だった4・8%前後に抑えるため、食糧生産の増強と輸出抑制に努めるという。
ギョーザ中毒事件で浮き彫りになった中国産品の品質安全問題についての取り組みも強化する。食品、医薬品など7700あまりの消費財の安全基準システムを国際標準に合わせ整備する。遅きに失した感もあるが、徹底を急いでもらいたい。
調和社会の構築をめざす胡錦濤政権のもとで、所得格差の拡大に歯止めがかからない。そこで「企業の職員・労働者の賃金水準の正常な引き上げと支給を保障するメカニズムの確立や、最低賃金制度の徹底」を図る。
温家宝首相が打ち出したこれらの政策は日本にも大いに影響する。中国のインフレや食糧の輸出抑制は、日本の中国からの輸入価格や数量に響いてくるし、賃金の引き上げは進出企業の採算を左右する。
大国化する中国の動向はもっと注視すべきだ。特に国防予算が4099億4000万元(約5兆9600億円)と20年連続の2ケタ増を記録し、日本(4兆7426億円)との差がさらに広がったことは看過できない。日本の安全保障を見直す必要がある。