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【主張】教材差し押さえ 中国は国際ルール尊重を
中国・上海市にある日本人学校浦東校が日本から取り寄せた地理に関する書籍や副教材など約800冊が、上海の税関当局によって差し押さえられた。
税関当局はいまのところ具体的な説明をしていないが、日本の領土である尖閣諸島を日本領として記している当たり前の部分などが問題視されているという。
尖閣諸島は明治28(1895)年、日本政府が日本の領土として閣議決定し、国際公告した。その後70年以上、どこの国からもクレームがつかず、名実ともに日本領土と確定していた。
それが1968年に国連アジア極東経済委員会(エカフェ)が近くに石油埋蔵の可能性があると発表したことで情勢が変化し、71年に台湾の中国国民党政権、中国政府が相次いで領有権を主張し始めた。中国は92年には国内法の「領海法」に、台湾などと並べて尖閣諸島(中国名・釣魚島)を一方的に中国の領土と明記してしまった。
今回、外務省にはまず、中国側に差し押さえの理由・根拠を徹底的に問いただしてもらいたい。理由が分からなければ対策も立てられない。
日本では、中国からの教材に日本にとって都合の悪いことが書かれてあるからといって、税関で差し押さえるようなことはしない。日本だけでなく、言論・出版の自由がある国々ではどこもそうで、当然の国際ルールである。中国側にはまず、このルールを尊重するよう求めたい。
今回、上海の税関当局は中国の国内法に基づく判断だとしている。しかし、問題の書籍や副教材は中国社会一般に出回るものではなく、日本人学校という限られた空間だけのものだ。国内法の厳密適用は疑問だ。
2005年6月にも、大連日本人学校が取り寄せた社会科の副教材128点が大連税関に差し押さえられる事件があった。そのときは罰金と一部没収で解決したと伝えられたが、今回は、そのような解決は禁物である。
今度の問題は税関レベルでは解決困難だ。日中政府間で早急にルールの確認を急ぐべきだ。今春には胡錦濤国家主席の初訪日も控えている。それまでに解決しなければ、日中間で目指している「戦略的互恵関係」が色あせること必至であろう。