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【主張】米金融法成立 危機収束の一歩にすぎぬ
公的資金による不良資産買い取りを柱とする米国の金融安定化法案が修正の末、ようやく下院で可決され、大統領の署名で法律が成立した。
先月29日に下院が当初案を否決した際には、株安、ドル安が拡大し、米国は金融恐慌のふちに立たされた。今回の可決は、サブプライム問題の震源地として果たすべき当然の責務だったといえる。
再採決に際しては、ブッシュ大統領はもちろん、マケイン、オバマの両大統領候補もその重要性を国民に訴え、前回反対票を投じた議員らの説得工作を行った。
もし下院が今回も可決しなかったら、米国発の世界恐慌は現実になっていたかもしれない。危機を先送りすればするほど不良資産の処理費用は増大し、実体経済に大きな影響を与えただろう。米議会にも、金融システムを守るには政府の介入が不可欠だとの理解がようやく深まった証しと見たい。
この法律の中身は下院に先立って上院が今月1日に可決した修正案と同じである。最大7000億ドル(約75兆円)の公的資金で金融機関の不良資産を買い上げるほか、金融機関に新株取得権の提供を義務付けて経営を監視する。
「税金での救済」という国民の批判に配慮し、減税や預金保護の上限を現在の10万ドル(約1050万円)から25万ドルに引き上げるなどの措置を追加した。
しかし、この法律はまだ、危機収束に向けた最初の一歩にすぎない。金融機関の資本増強策が法案には欠けているからである。
不良資産の買い取りは、将来の国民負担を考えて簿価より低い価格で購入せざるをえない。その場合、金融機関は多額の損失計上を余儀なくされる。その結果として破綻(はたん)金融機関が続出するようなら金融危機の連鎖はかえって強まることになりかねない。
そうした事態を回避するためには、不良資産買い取り後の資本不足を補ってやる必要がある。いずれ抜本的な公的資金による資本注入は避けられまい。欧州各国はすでに公的資金を投入し、経営が悪化した金融機関の国有化に相次いで踏み切っている。
不良資産の買い取りと資本注入は、セットで行われてこそ効果を発揮する。10日にはワシントンで先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が開かれる。欧州と日本はその場でも米国に強く対応を働き掛けるべきだ。