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【主張】米印原子力協定 核5大国の責任は重大だ
米国とインドの原子力協力協定は、米上下両院で承認されたことで発効が確実となった。ブッシュ大統領は「米印戦略パートナーシップ強化に期待する」と歓迎したが、核不拡散体制の空洞化を防ぐ5大核保有国の責務は格段に重くなった。
両国が協定に調印したのは2年前だ。インドが核拡散防止条約(NPT)に加盟していないにもかかわらず、原発技術や核燃料などを供給する内容だったため、国際社会から「NPTに悪例を残す」「不拡散体制を空洞化させる」などの強い批判が集中したのは当然といっていい。
ブッシュ政権は中国の台頭を牽制(けんせい)する戦略的狙いに加えて、インドの民生核施設に国際原子力機関(IAEA)の査察が可能になる▽同国の原発増設需要に米企業が参入できる▽原発増設は環境面でも地球温暖化防止に貢献する−などの理由を掲げてきた。
これを受けてIAEAが協定を歓迎し、インドと査察協定を結んだのに続き、日本など45カ国で核技術移転の国際管理にあたる原子力供給国グループ(NSG)も先月、全会一致で協定を承認したことで発効の手続きが整った。
NPT体制の大原則は、核保有国を米露英仏中の5大国に限定して核軍縮を進め、非核国の安全と核平和利用を促すことにある。インド、パキスタン、イスラエルの非加盟を放置してインドを優遇するのは道義的にも容認しがたい問題行動だ。イランや北朝鮮にとって悪い前例となりかねないことはいうまでもない。
一方で国際政治・経済の現実は難しいジレンマでもある。インドの原発需要を見込んで、ロシア、仏、中国も対印協力合意を結びつつある。世界の商用原発技術は日米連合、仏などの欧州、ロシアが占めており、今後は中印両国の原発市場をめぐって激しい競争を展開することになるだろう。
米印協定が発効し、仏露などの追随も確実となった以上、NSGの監視義務の強化や、国連安保理常任理事国でもある5大国の今後の行動が問われる。次回のNPT再検討会議まで2年、インドなどにNPT加盟を強く働きかけ、核実験モラトリアムを守らせることは不可欠の責務だ。
「NPT体制崩壊の引き金を引いた」と批判されないように、5大国は連帯責任の重大さを強く自覚して行動してもらいたい。