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【正論】オバマ氏訪欧の熱狂とわな 英コラムニスト ジェフリー・スミス (1/3ページ)
ケネディの演説と比較も
米大統領選挙戦で先頭を切るバラク・オバマ上院議員は政治家としては前例のない旅を終えた。1週間でアフガニスタン、イラク、ヨルダン、イスラエル、パレスチナ、そしてドイツ、フランス、英国を歴訪したが、その様は政治家の外遊ではなく、王族の行進のようであった。
訪問先ではまるで既に大統領に選ばれたかのような礼がつくされた。各国の王や大統領、首相がまるで臣下が忠誠を誓うかのごとくに先を競って彼を迎え、欧州では驚くばかりの大勢の民衆が歓迎した。ジョン・F・ケネディ大統領の歴史的な1963年のベルリン訪問とたびたび比較もされた。
しかし、オバマ氏はまだ民主党の正式な大統領候補にすらなっていないたかが一候補。それが候補としては初めてここまで国際世論を興奮させている。その原因、そしてこの熱狂のオバマ氏自身やアメリカ、そして国際関係への影響を考察する。
オバマ氏が米国内ばかりでなく国際社会を揺さぶる理由は二つある。まずそのすばらしい雄弁さである。雄弁さのみで具体的な政策と結びついていないことがあるため、聞くものに苛立(いらだ)ちを生むことはある。しかし、欧州や米国の政治環境では雄弁さは千金の価値がある。
チャーチル、ケネディ、レーガンといった偉大な政治指導者たちの演説は彼らの行動と同じくらいに人々の脳裏に焼きついている。演説こそが、政策の詳細に必ずしも関心のない聴衆の感情に響き、指導者との間にきずなを生んだのである。オバマ氏は特に20万人を前にしたベルリンでの演説でこのつながりを築こうとした。彼は劇的な演説を得意とするが、この演説はまさにドラマであった。
オバマ氏が国内外で異常に注目されるもう一つの理由は彼が米国初の黒人大統領になる可能性が高いからである。支持率ではここ数カ月、共和党候補となるジョン・マケイン上院議員を上回っており、余計興奮度が増している。

