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【正論】北京五輪と国旗の似合う美女 作家・深田祐介 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:卓球
選手団を率いた福原愛
北京五輪は異様な興奮というより、高揚感に日本社会を巻き込み疾風のごとく走り去った。テレビ画像の前に残された者はスポーツ無関係のテレビタレントがまさにバカ騒ぎをしてやたらに振りまく騒音をいとわしくおもいつつ、しかし不思議なものを見たという、感慨も捨てきれないのだ。
日本選手団の入場の折、ひとりの美女が旗手として先頭に立ち高々と日の丸をかかげ持ち、胸を張って入場した。美女は満面に微笑をうかべ自信に満ちて行進する。卓球選手の福原愛さんだ。戦後初めて国旗の似合う美女が登場した、と言っていい。
私は昭和12年の吉川英治氏のコメントを思い出していたのである。今の朝日じゃ考えられない話だが、戦前の朝日新聞はさまざまな文化事業に着手し、小説も吉川英治氏の「宮本武蔵」を連載していた。
そこへ突然大事件が起る。朝日新聞航空部がニュースや報道写真運搬用の国産自社機「神風号」を東京から(正確には立川)ロンドンに飛ばし、わずか94時間17分56秒で現地に到着、世界に冠たる驚異のスピード新記録を樹立してしまったのだ。
そして吉川英治氏は4月11日の朝日新聞朝刊に「美貌(びぼう)なれ国家」と題してユニークなエッセーを書いたのであった。ふたりの神風号パイロットが揃(そろ)って美男子、好感度高く女性の人気が爆発したことに基づいての話だ。
回想「美貌なれ昭和」
「女の心理だけではないと思ふ。国際面に対しても、美貌は国家も必要としてもつ容姿でなければならない。さくらの日本は美貌なる国家のはずであるが、武士道の国の日本は、ややともすると、その正反対な精悍(せいかん)殺伐な顔つきを連想されやすい。これが外交上に損をしてゐることも事実である」

