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【主張】野口ショック 陸連は危機管理の徹底を
北京五輪女子マラソン代表で、史上初の2連覇を目指していた野口みずき選手が左太ももの肉離れで欠場することになった。国民の期待がかかっていただけに残念だが、最もショックを受けているのは本人だろう。
出場辞退を発表した際、同選手が出したコメントには「この4年間やってきたことはすべて北京で走るためだっただけに、今も走りたい、走ろうという思いは消えることはありません」と書かれてあったが、胸中をおもんぱかると慰めの言葉さえ見つからない。
日本陸連が危機管理をしっかりやっていれば最悪の事態は避けられたのではないか。
マラソンは人間を極限状態まで追い込むスポーツである。その厳しさを克服するために酸素が少ない高地で月に何度も40、50キロ走をこなすなど過酷なトレーニングを重ねていく。
野口選手はシドニー五輪金メダリストの高橋尚子選手のような並外れた心肺機能を持っているわけではない。4年に1度のオリンピック、それも連覇がかかっているとなれば、無理を承知でよりハードな練習をこなそうと自らを追い込んだのかもしれない。
見守っていた監督、コーチは何をしていたのか、ブレーキをかけられなかったのか、という疑問を拭(ぬぐ)うことはできない。日本オリンピック委員会幹部から「コーチに責任がある」との批判が出ているのもうなずける。
補欠の森本友選手も故障を理由に代替出場を辞退した。陸連は3人の代表と補欠選手のコンディションを把握するために情報収集をしていたのだろうか。
女子マラソンは代表選考が国民的関心事になるほど人気が高いこともあって、選手や指導者間のライバル意識が強く、横の連絡は皆無に等しい。有力選手にはスポンサーが付き、さまざまな思惑がぶつかりあう。仕上がり具合などの重要事項の情報漏れを恐れ、秘密主義に走る傾向がある。
そこを調整するのが陸連の役割だ。今回のケースで、もう少し早めに動いていたら、打つ手があったのではないか。危機管理ができていなかったと、指摘せざるを得ない。
貴重な代表枠を1つ失い、17日に行われるレースに出場する土佐礼子、中村友梨香両選手にかかる重圧は増したが、メダル奪取を目指し奮闘してもらいたい。