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【エベレストへの道】三浦隊との80日(5) (1/2ページ)
このニュースのトピックス:地球の頂点へ 三浦雄一郎、75歳の挑戦
「グッドモーニング。チャ(茶)、どうぞ」
ベースキャンプの朝は、シェルパが運んでくれるモーニング・ティーで始まる。明るくて、強くて、とても働き者だ。
が、親切の度が過ぎておせっかいに近いシェルパもいる。三浦隊の筆頭は、カミ・ツェリンさん(52)。バッティーでのある朝、モーニングティーを運んできてくれたときのこと。各部屋を回り終えた彼が、廊下から甲高い声で叫んだ。
「チャ、お代わりー!」
誰も反応しない。午前5時から、2杯も熱々の甘いミルクティーは飲めないだろう。「お代わりー!」。彼はあきらめない。
「お代わり、くれ…」。弱々しい村口徳行さん(52)の声が聞こえた。「誰かがお代わりしないとあいつ、帰らねえだろ」。後で、そうぼやいていた。
◇
信心深いシェルパは、安全祈願の儀式「プジャ」をしないと山に入らない。日の吉凶にも神経を遣い、日取りは彼らの暦「ラマ暦」で選定する。このため、4月24日にベースキャンプ(BC)に入った三浦隊は、プジャを28日までできなかった。
このラマ暦、何と天気予報までついている。頂上アタック日を5月26日と設定した次男の豪太さん(38)がサーダー(シェルパ頭)のラクパ・テンジンさん(68)に相談すると、「日はいいが、天気が良くない」と、大まじめに考え込んだ。科学的な天気予報ではいい、と説明すると、一応納得してはくれたのだが。
今はないらしいが、昔、シェルパ族は「一妻多夫制」だったらしい。ダヌールさん(32)によると、出稼ぎなどで家を空けることが多いのと、嫁をもらうのに金がかかるため「効率のいいシステム」として行われていたとか。効率がいいだけではなく、子孫を確実に残すための合理的なシステムでもあった。


