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【ドラマ・企業攻防】日本メーカーの“甘さ”露呈したスピード水着問題 (1/2ページ)
世界記録を連発し、「競泳の歴史」というよりも、「競泳水着の歴史」を塗り替えた英スピード社製レーザー・レーサー(LR)問題。日本水泳連盟が、ミズノ、アシックス、デサントの国内3社との契約を覆して日本代表選手もLRを着られるようにしたことで、日本中が注目した騒動は一応決着した。だが、ハイテクを誇ったニッポン製造業の惨めな“敗北”に、後味の悪さは否めない。極薄水着のLR騒動から透けて見えたのは、技術偏重・情報軽視という日本企業特有の弱さや、競泳界と国内メーカーという狭いムラ社会にみえる甘えの構造だった。
ミズノの動揺
今回とりわけ苦い思いをしたのが、日本のエース・北島康介選手と契約するミズノだろう。ミズノの受けたショックは、他の2社とは比較にならない。それは、「誤算」が重なる悲劇のドラマでもあった。
スピード社との42年に及ぶ共同開発契約を打ち切り、自社ブランドで世界に打って出た矢先のLR騒動。「スピード社の歴史的水着と評される『シャークスキン』は、ミズノの技術というのがもっぱらの見方」(大手スポーツメーカー)。スポーツ用品業界でも、ミズノのつまずきは想定外だったようだ。
北島選手との契約金額は明らかでないが、年間5000万〜6000万円とも言われ、競泳に関する用具はすべて無料で提供。前回五輪直後から4年の歳月をかけ、ミズノは水着の開発に専念した。すべては世界200カ国で放映される北京五輪で、「MIZUNO」のロゴを付けた選手が登場する日のためだった。
スターである北島選手とのスポンサー契約を結ぶミズノは、6月10日の日本水連による解禁直前まで、契約選手のLR着用に否定的だった。解禁前に水野明人社長が報道陣に囲まれた話がもとで「ミズノ、契約選手のLR着用容認へ」と報じられても、現場の担当者は「社長はサービス精神が旺盛だから。言葉尻を捉えられただけ」と真に受けず、火消しに走ったほど。
誤算の起点
ミズノの誤算は、どこから始まったのか。
昨年6月1日、ミズノは自社ブランドの競泳用水着「アクセルスーツ」を発表した。陸上選手用スーツなどで実績を積む三次元仕立て技術を初めて水着に採用、動きやすさとフィット感を両立した技術を水着に応用したものだ。北島康介選手は発表会の舞台で、「着心地は最高。世界一の水着だと、僕からも発信できるようがんばりたい」と話し、報道陣の求めるまま愛きょうを振りまいた。
ミズノは1920年代から水着を生産しているが、65年からはライセンス契約を結んだスピードのブランドで、同社と共同開発した水着を国内販売してきた。日本の競泳選手が、ミズノのロゴ入り水着で五輪に挑んだのは72年のメキシコ五輪が最後となる。
ミズノは近年、自社ブランドによる世界事業展開に方針を転換。他の製品と同様、水泳関連商品でもライセンス契約を切った。発表会見の後で水野社長は「やっとスピードとの契約を打ち切ることができた」と、満面の笑みを浮かべた。それは「スピード何するものぞ」と、勝算を胸に秘めた余裕の表情ともいえた。
技術力をバックに世界で躍進を期したミズノだが、長年のパートナーの力を甘く見たのか、情報戦で重大な遅れを取った。
すでにスピード社は3年前から、国際水泳連盟(FINA)の規定に抵触しかねない次世代水着・LRの開発を極秘裏に進めていたからだ。
















