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暴行死事件を力士教育にどう生かす 相撲協会に問われる手腕
このニュースのトピックス:大相撲
力士暴行死事件が名古屋地裁で初公判を迎えたこの日、日本相撲協会には抗議の電話が数本寄せられた程度で混乱は見られなかった。ただ、この事件が角界に与えた衝撃は計り知れない。
各部屋では親方、マネジャーらが弟子の食事や体調管理、日常の行動に目くばりをし、きめ細かく対応するようになった。ある親方は「大事に育てるだけではいい力士は育たない」と過保護を心配する一方で、「事件の原因がはっきりすれば、再発防止の参考になる」と、事件へと至った真相が裁判で明らかになることを期待する。
力士経験者だけで運営される相撲協会は、この事件を契機に、外部から有識者を招いて再発防止検討委員会を発足させた。暴力根絶のために、相撲部屋から竹刀や機の棒などを撤去するほか、抜き打ちを含めた部屋視察を行うなどの再発防止策をまとめた。理事、監事も戦後初めて外部から登用し、閉鎖性が問題視された理事会の透明性を高める努力をみせる。
監督官庁の文部科学省からの指導もあり、協会はハード面を充実させることに傾注している。だが、部屋を預かる親方が取り組むのは弟子の人間教育。「相撲道は技を磨き心を練ることだが、心を練ることで技も磨かれる」と別の親方は言う。師匠と弟子の心のボタンの掛け違いで招いた暴行死事件の真相究明が、今後の力士教育にどう生かされるか。協会、親方の手腕が問われる。(松本恵司)