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【話の肖像画】柔の道(5)東海大教授・山下泰裕さん (1/2ページ)
このニュースのトピックス:話の肖像画
■「日本の心」取り戻そう
−−今の日本、殺伐とした事件が相次ぎ、若者たちもおかしくなってきているといいます
山下 確かにそうですが、問題は「誰がおかしくしているのか?」でしょう。それは親であり、大人ですよ。われわれが自身の生き方、価値観を見つめ直し、自分に恥じない行動をしなければならない。世の中の「あり方」が子供に反映されると思うからです。
−−その通りですね
山下 かつての日本人が持っていた美徳。潔さ、清さ、敗者への思いやり、和の心、といったものをもう一度、見直してゆく必要があるのではないか、と思っています。スポーツの世界で一番大事なのはフェアプレーの精神であり、スポーツマンシップです。柔道になぜ「道」がついているのか? それは日常生活に精神を生かすためです。どんなに強くても日常生活に生かせないのは「柔(やわら)の道」ではありません。「日常生活でのフェアプレー」を大事にする、という運動が広がっていけば、世の中の価値観にも何らかのインパクトを与えられるかもしれません。
−−柔道を通した人間づくり「柔道ルネサンス」の活動に取り組んでいますね
山下 これは新しいことではなく、柔道の創設者である嘉納治五郎師範の精神です。その原点にもう一度、戻りたい。「最強」の選手ではなく、「最高」の選手を育てたい。日本人が何千年も大事にしてきたものを“柔道という切り口”で少しでも取り戻したいのです。
−−国際交流にも…
山下 2006年に(柔道が好きな)ロシアのプーチン大統領(当時)が来日したとき、嘉納師範の書(「自他共栄」)を贈りました。その言葉は、相手がいるから自分がある。一番大事なことは相手への尊敬だという意味です。プーチン大統領は「国民の教育のために使いたい」と喜んでくれました。

