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【産経抄】9月25日

2008.9.25 03:09
このニュースのトピックスパ・リーグ

 勇退を決意したソフトバンクの王貞治監督(68)とは、どんな人物なのか、同僚のベテラン運動記者に聞いてみた。「王さんは」と言いかけて、いつのまにか独り言になった。「そういえば、呼び捨てにしないのは、王さんとミスターぐらいだな」。

 ▼記者の仲間内では、野球選手にかぎらず取材相手のことを、親しみもこめて、敬称を付けないで話題にすることがある。王監督とミスターこと、長嶋茂雄元巨人監督の2人は、例外だというのだ。

 ▼現役時代は、プロ野球記録の通算868本塁打を放ったスーパースターだった。指揮官としても、2度の日本一に加え、2006年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、世界一にも輝いている。さん付けは、その偉業に対する敬意の意味もあるが、それ以上に監督の人柄によるところが大きいという。

 ▼新人記者にもちっとも偉ぶらない。名刺を交換すると、次は名前で呼びかける。「王さんは、名刺を受け取ると必ず、日付とその人の特徴を書き込んでいた。いま私がそれを見習っている」とくだんの記者はいう。記者を大切にするのは、ファンとの懸け橋と位置づけているからだ。

 ▼現役時代、スランプに陥ったときに、サインを求められても、嫌な顔ひとつ見せたことがなかった。そんな監督でも、ぐちをこぼしたことがある。国民栄誉賞をもらってから、もうばかなことはできなくなった、と。

 ▼確かに、人格者のイメージは、監督にとって、かえって迷惑だったのかもしれない。若いころは、銀座で豪遊した武勇伝もある。ユニホームを脱ぐことで、少なくとも「神様」と祭り上げる人たちから離れて、人間・王貞治にもどることができそうだ。本当にお疲れ様でした。

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