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【特報 追う】秋田「成績開示」ルール違反?全国学力テスト

2008.10.10 02:20

 文部科学省が実施した「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)をめぐり、秋田県教育委員会が、県情報公開条例に基づく請求を受け、市町村別の成績の一部開示を決めたことで、他の東北各県の教育関係者に波紋を広げている。「正直言って迷惑な決定だ」との声も聞こえる。全国学力テストは競争管理のためなのか、それとも改善支援のためなのか。混乱する関係者に話を聞いた。

(宮原啓彰)

 開示内容は市町村ごとの分野別(2教科8種)の平均正答数と平均正答率。市町村名や学校名は開示されず、早ければ22日にも公表予定だ。

 文科省の「全国学力テスト」実施要領では「都道府県教育委員会は個々の市町村名・学校名を明らかにした公表は行わないこと」と明記されていた。秋田県教委はこれを逆手に取り「名前を伏せれば公表可能と解釈した」(根岸均県教育長)。この解釈に文科省担当者は一瞬、困惑の表情を浮かべ「特定されうる」との懸念を示したという。

 根岸教育長は「要領をぎりぎりクリア。すき間を狙ったわけではないが、部分公開という灰色決着となった」とした。

 一方、秋田県教組の高橋範幸副委員長は「要領違反であり越権行為」と批判。他の東北各県教委も「秋田はルール違反ではないか」と指摘する。実施要領に「地方公共団体が定める情報公開条例に基づく情報の開示により、調査の適正な遂行に支障を及ぼすことのないよう適切に対応する」べしとあるからだ。

 青森県教委は「今後、『うちの県でも』という声が上がることを危惧(きぐ)している。数値だけでも、見る人が見れば市町村名を特定可能だ」と懸念を示す。

 宮城県教委は「今後も文科省の指針に従う」とし、山形県教委も「今回の開示は理解できない」とバッサリ。

 他県には「そもそも実施主体は国で参加するのは市町村。県が介入する問題ではない」(宮城県教委)との声が大勢だ。しかし、秋田県教委は先月、県内25市町村を回って自主公表を要請するなど情報公開に積極的な姿勢を示し続けてきた。

 この秋田県教委の動きに同県の寺田典城知事の存在を指摘する声も。秋田県教委は「知事の意向とは別個の判断だ」と無関係を強調したが、寺田知事はこれまで「自分の責任で公表せざるを得ない」「中学校は東成瀬村が秋田県で一番」「(県教委は)ルールを破ってでも公表すべき」などと発言してきた。

 また秋田の特殊事情も指摘される。全国学力テストで秋田県は小学生が2年連続で全4種の試験で全国1位。中学生も1〜3位と好成績だった。他の東北の県教委関係者は「全国学力テストは全国平均が出る以上、教育関係者に相当なプレッシャーを与える。トップランナーの秋田にはかなりのプレッシャーがあったのだろう」と同乗した。

 秋田大教育文化学部の佐藤修司教授は「県教委の決定はルールぎりぎりの落とし所で穏当な判断」と理解を示す。その一方で「県はテストの実施主体でなく、データを文科省との紳士協定で持っているに過ぎない。今後、県教委や市町村教委への情報公開を求める先例となる」と分析する。「文科省は序列化はダメと言いながら、本音ではテストによる競争を願っている。この文科省の姿勢が問題。テストを競争管理に使うのか、改善支援に使うのか、前提となる合意作りが必要だ」(同前)。

 根岸教育長は「(実施要領は)しばりがあり、『名前を言うな』ということを強調しすぎている」と批判する。寺田知事も「(一部公開という決定は国や市町村に)気を使ったのだろう。上から押さえつける時代は終わった」とし、自ら市町村名を公表する考えは「変わっていない」と話した。一方で、「一部公開でも過度の競争や序列化に繋がりかねない。実施要領の目的はそうではなかったはず」(岩手県教委)との声も根強く関係者はいまテストそのものの目的に疑問を抱いている。

 実施者の文科省は「現時点で実施要領に違反しているとも、違反していないとも言えない。今後、市町村名を特定可能か検討したい」と話すに留まった。

                    ◇

 ■全国学力テストの秋田県の成績

 小学6年生と中学3年生を対象に、国語と算数/数学の2教科で、それぞれ基礎知識を問うA問題と、応用力を問うB問題からなる。秋田県は、小学生が国語A74.4点(全国平均65.4点)、国語B62.9点(同50.5点)、算数A80.7点(同72.2点)、算数B58.9点(同51.6点)で、2年連続全科目で全国1位。また中学生も国語A78.6点(同73.6)で1位。数学A70.1点(同63.1点)が2位、国語B66.8点(同60.8点)と数学B54.7(同49.2点)が3位と好成績だった。

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