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【産経抄】8月6日

2008.8.6 02:49
このニュースのトピックス産経抄

 福田康夫首相はなかなか骨のある政治家だ。内閣改造・党役員人事で人気者の麻生太郎氏をうまくとりこんだ、といった類(たぐい)の話ではない。新疆ウイグル自治区で警官隊襲撃事件が起こり、緊迫感増す北京へ五輪開会式出席のため自衛隊の小型ジェットで乗り込むのだから大したものだ。

 ▼多数の五輪観戦ツアーを組んだ旅行会社は、いま頭を抱えている。野球ファン垂涎(すいぜん)の日本対キューバ戦を組み込んだツアーさえまだ売れ残っているのだ。食の安全のみならず、テロへの不安がオリンピック好きの日本人に二の足を踏ませている。

 ▼テロの脅威をものともせず北京入りする首相は、胡錦濤国家主席や温家宝首相との会談で、骨のあるところをきっと見せてくれるだろう。よもや「北京五輪は素晴らしい」と世辞を言うためだけに馳(は)せ参じるのではあるまい。

 ▼日中間には、北朝鮮問題のみならず、いまだ解決していない毒餃子(ギョーザ)事件など話し合うことはヤマほどある。カシュガルで現地の武装警察官が、取材中の東京新聞カメラマンや日本テレビ記者に殴る蹴(け)るの乱暴狼藉(ろうぜき)を働いた事件もそうだ。

 ▼テロで亡くなった警官のご冥福を祈るが、無関係の日本人でさえひどい仕打ちを受けるのだから、ウイグル人への詮議(せんぎ)は推して知るべしである。テロ撲滅の美名の陰でどれほどの人々が苦痛を受けているか想像するだけで身震いがする。

 ▼首相は北京から長崎に直行し、9日の平和祈念式典に参列する。なかなかの行動派だが、靖国神社には参拝しないという。首相にとって、北京の鳥の巣より九段の方が遠いようだが、嫌々参ってもらっても英霊に失礼だ。永田町界隈(かいわい)ではきのうも間断なく雷鳴が轟(とどろ)いたが、天の怒りと感じるのはきっと思い過ごしだろう。

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