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薄氷の再出発(上) 粘り腰の麻生説得 総務会長ポストで玉突き混乱  (1/3ページ)

2008.8.2 01:28
このニュースのトピックス国会

 前自民党幹事長の麻生太郎が、首相の福田康夫から電話を受けたのは7月31日夜。山形・かみのやま温泉で妻と2人で静養中のことだった。

 「幹事長を引き受けていただけないですか…」

 福田の言葉に麻生は「何をいきなり…」と口ごもったが、予感はあった。福田の後見人である元首相、森喜朗から内々に打診されていたからだ。その際は「そんな話は軽々にお返事できない」とかわしたが、もはやごまかしは効かない。

 「せっかくのお言葉ですが…」と麻生は断ったが、福田は「何とかお願いしたい」と食い下がった。内閣支持率の低迷が続く中での初めての内閣改造。しかも公明党が年内解散にかじを切り、政権と距離を置き始めており、人事の失敗は許されなかったのだ。

 中でも麻生を政権の中枢に取り込むことは必須要件だった。国民的に認知度が高く人気のある麻生は「自民離れ」を食い止めるにはうってつけだからだ。

 党内情勢を見ても先の総裁選のシコリは大きい。福田陣営は8派連合で麻生包囲網を構築したが、若手・中堅が麻生支持に回り330票対197票まで詰められた。反主流となっても麻生支持層の結束は固く、政権への脅威となっていた。

 一方、麻生も軽々に幹事長を受諾するわけにはいかなかった。これまで「福田内閣とは思想・哲学が違う」と公言しており、自らの支持層の期待を裏切ることになりかねない。次期総裁選をにらむと首相と一蓮(いちれん)托(たく)生(しよう)となる幹事長への就任はリスクが大きい。先の総裁選で福田の出身派閥である町村派に「クーデター説」を流された苦い思い出もある。

 とはいえ、麻生は福田には遺恨はなかった。日銀総裁人事などで福田が苦境に陥った際は自ら電話し励ましたこともあった。

 麻生「こんな話を電話ですべきじゃないですよ」

 福田「では明日11時、公邸でお待ちしています」

 翌1日、首相公邸で待ちかまえた福田は40分あまり麻生を口説いた。

 「自民党は存亡の危機だ。力を貸してほしい。党総裁としてお願いする」

 この殺し文句に麻生はついに折れた。粘り腰の勝利だった。

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