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【産経抄】9月20日
このニュースのトピックス:産経抄
海賊と聞いて年配の人が思い出すのは19世紀の英国人作家、スティーブンソンの『宝島』かもしれない。海賊が離れ島に隠した宝物を少年たちが探しにいく冒険小説である。明治時代から何度も日本語に翻訳され、子供たちの胸を躍らせてきた。
▼その『宝島』は戦後、米国で映画化された。ほかにも「海賊もの」といわれる映画がたくさん作られている。物語や映画に出てくる海賊は他の船を襲う悪党である。人相・風体も怖い。それでもどこか、人間くさい愛嬌(あいきょう)も備えていたような記憶が残っている。
▼だが現代、アフリカ・ソマリア沖に出没する海賊に、そんな文学的イメージはない。紅海からインド洋に出てくるタンカーや貨物船に襲いかかり、乗っ取る。そして船の持ち主や管理者から法外な身代金をふんだくる。ロケット弾や機関銃で武装した、実にやっかいな連中だ。
▼日本の海運会社が所有したり管理したりする船も襲われている。実際に乗っ取られた船もあるが、何隻かは近くにいた多国籍艦隊の軍艦に助けられた。テロリストの温床であるアフガニスタンと新たな温床になりつつあるソマリアを遮断するため展開する艦隊である。
▼日本の海上自衛隊が給油支援しているのがこの艦隊だ。ここで給油すれば、いちいちペルシャ湾まで戻らなくていい。多国籍艦隊としては実に助かる。日本関係の船が海賊に襲われたとき助けにきてくれるのもそのおかげであることは言うまでもない。
▼昨日の本紙朝刊で、岡本行夫氏が海賊の言葉は避けながらもソマリア沖の現実をつぶさに書いておられた。給油支援をやめれば日本は「国際互助会からは抜けるが果実だけは食わせろ」という国になると訴える。ぜひとも読んでもらいたい方は多い。