ニュース: 政治 RSS feed
日朝実務者協議合意、予断許さぬ再調査の行方 (1/2ページ)
【瀋陽(中国遼寧省)=阿比留瑠比】2カ月ぶりに開かれた日朝実務者協議で、北朝鮮と拉致問題の再調査の具体的な進め方で合意したことについて、政府は「かなりの部分、日本側の意見が受け入れられた」(外務省幹部)と自賛する。確かに、成果なく終わった過去2回の調査と異なり、進捗(しんちよく)過程でチェックを入れる仕組みがあるのは事実だ。ただ、実際に北朝鮮が合意事項をどう運用していくのかは不透明で、日朝協議筋も「結果がどうなるかまだ予断を持つのは早い」と必ずしも楽観できないことを認めている。
「日本国内には、制裁解除は調査による結果が出てからだという意見もあるが、実際の外交ではそれはちょっと難しい」
外務省幹部は13日、北朝鮮が再調査のための調査委員会を立ち上げた時点で制裁措置の一部解除を実施することについて、国内で批判が出る可能性に言及しつつこう述べた。政府が「行動対行動の原則」を盛んに強調している以上、それは事実ではあるのだろう。
また、6月の協議ではいったん合意されていた貨客船「万景峰92」をはじめとする北朝鮮籍船舶の人道支援物資積み込みに限定した入港解禁が、今回の合意事項から消えたのも、国内世論に一定の配慮を示したものといえそうだ。
だが、「一歩前に進んだ」(外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長)ことは認めるにしても、今回の日朝合意を手放しで歓迎するわけにはいかない。
過去の調査では、北朝鮮外交当局は、権限が軍部や朝鮮労働党の特殊機関に権限が及ばないことを、調査内容が不完全である口実とした。今回は、「権限が与えられた調査委員会」が調査主体となるが、メンバー選定は北朝鮮側に委ねられており、現時点で本当に「権限」が担保されているわけではない。
調査委員会による調査期限にしても「可能な限り秋には終了」とあり、これが10月なのか11月なのか、さらに延びるのかは分からない。政府関係者は「北朝鮮も経済的に追いつめられており、前回と同じような調査結果でお茶を濁すようなことは通用しないことはわかっている」と指摘するが、相手の出方が正確に見通せているわけではない。


