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【主張】最低賃金 生活保護上回るのは当然

2008.8.18 03:06
このニュースのトピックス景気

 今年度の全国の最低賃金について、厚生労働省の中央最低賃金審議会は、時間給の引き上げ額を平均で15円とする目安を決めた。

 見直しのポイントは、最低賃金が生活保護の給付額を下回る逆転現象の解消にあった。この現象が存在する12都道府県に対し、原則2年以内、特殊事情がある地域も3〜5年で解消するよう求めた。

 働いて得た報酬が、生活保護より低かったら、働く意欲を失ってしまう人が大半だろう。景気は後退局面に入っており、経営のかじ取りが難しいのは理解できる。しかし、企業経営の安定は、消費者でもある労働者の生活が成り立つことが前提である。

 雇用を減らさず賃金の底上げを図るにはどうするか。企業の生産性向上のために、労使双方が知恵を絞る必要がある。

 最低賃金は、企業が守るべき従業員に支払う最低限の賃金額で、都道府県ごとに決まっている。今回の引き上げ幅は、昨年の14円から1円上がった。この結果、全国平均の最低賃金額は初めて時給700円を超える見通しである。

 この目安額は、先月に施行された改正最低賃金法が「生活保護との整合性に配慮」するとの原則を定めたこともあって、現時点で生じている生活保護との差を、逆転解消をめざす目標年数で割って算定した。例えば、生活保護との差が時給80円の東京都の場合、その差を3年で埋めるためには、1年あたりの引き上げ幅は平均で25円超となる。

 今年の最賃審での議論は昨年までと大きく異なった。法改正を受けた初めての審議だったからだ。労使の意見は鋭く対立し、中立的な審議委員の有識者が見解を示すという異例の形で決着した。

 その見解の基本線は、「最低賃金を高卒初任給の最低水準に引き上げる」と「欧米並みの水準に近づける」の2つだった。

 今回の決定に対して、経営側の不満はなお根強い。だが、非正規雇用の増加によって、最低賃金と生活保護の逆転現象が顕著になっている点や最高額の東京都(739円)でも欧米各国に比べて大きく下回っている点を考慮すれば、妥当な判断であろう。

 中長期的には、最低賃金の引き上げは国全体の内需拡大につながる。都道府県ごとの審議会はそうした観点も考慮して底上げをめざしてほしい。

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