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【ゆうゆうLife】向き合って 左手のピアニスト・舘野泉さん(71)(上) (2/2ページ)

2008.8.7 07:50
このニュースのトピックス病気・医療
脳溢血で倒れ、左手のみで演奏するピアニストの舘野泉さん(中鉢久美子撮影)脳溢血で倒れ、左手のみで演奏するピアニストの舘野泉さん(中鉢久美子撮影)

 日常生活の記憶は飛んでしまっていましたが、例えば、日記には音楽家の名前はたくさん書いていました。リハビリのノウハウを忘れないようにつけ始めた日記なので、リハビリによる日々の体の変化を楽しんで書いています。

 例えば、「いままでにないほど長い道のりを最初は歩行補助器を使い、その後はステッキで歩きました。後ろ向きにも歩いたし、最後にはなんの支えもなしで!」といった調子です。実はこのころは半年もすれば右手が回復し、また以前のようにピアノが演奏できると信じていたのです。

 倒れて2カ月後の日記には「ピアノはもちろん続けてやっていく。七月にはセヴラック音楽祭で演奏できるようにするつもりだし、秋には復帰できるのではないかなどと話しました」などとつづっています。この日記は、後に出版した「ひまわりの海」(求龍堂)にも盛り込みました。

 ところが、退院して自宅療養を始め、気持ちは一気に暗転しました。病院では順調に回復しているつもりでしたが、日常生活に戻ると、何もかも、以前のようにはいかない。思いのほか、体力が落ちていて、しゃがんだら、立ち上がれない。たかだか往復数百メートルなのに、買ったタマネギ数個が重くて歩けなくなるといった状況に愕然(がくぜん)としました。

 リハビリでは、医師によって「ピアノが弾けるようになる」と言われたり、「これ以上、回復は難しい」と言われたり。このころは、絶望と希望の繰り返しでした。

                   ◇

【プロフィル】舘野泉

 たての・いずみ 昭和11年、東京都生まれ。東京芸大ピアノ科卒業。39年からフィンランド在住。同国立音楽院シベリウスアカデミー教授などを歴任。平成14年、脳出血で倒れ、16年復帰。18年、左手演奏のための曲づくり募金「左手の文庫」を創設。病からの回復をつづった著書に「左手のコンチェルト」(佼成出版社)など。

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脳溢血で倒れ、左手のみで演奏するピアニストの舘野泉さん(中鉢久美子撮影)

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