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【産経抄】10月6日
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北九州市の門司港は、いま「バナナフェア」の真っ最中。休日には、売り台をたたきながら、威勢のいい口上付きでバナナを売る、なつかしい光景に出合える。安売り、投げ売りの意味で、言葉としてはよく使われる、あの「バナナのたたき売り」だ。
▼門司港が、たたき売りの発祥の地とされるのは、戦前、バナナを台湾から神戸へ運ぶ船が、寄港していたからだ。輸送の途中で傷んだバナナが、ここでやむなく安売りされることになった。当時バナナは、高級品だった。
▼ボクシング元世界チャンピオンのガッツ石松さんが、デビュー戦で受け取ったファイトマネーでまず買ったのが、バナナだった。小さいとき、1度食べたきりの味が忘れられなかったからだという。昭和38(1963)年に、輸入が自由化されるまで、庶民の口になかなか入るものではなかった。
▼そんなバナナが、いまや世帯当たりの購入量では、ミカンを抜いて果物で首位の座を保っている。1年ほど前に、大阪版の夕刊エッセー欄で、節約のために「粗食家族」をめざした主婦が、子供のおやつにバナナの登場回数が増えた、と書いていた。
▼安くて手軽なバナナに、ダイエット効果まであるとなれば、人気に拍車がかかるのも当然だ。特に先月、テレビ番組で取り上げられて以来、品不足が続いている。夕方、近所のスーパーの果物売り場をのぞいたら、見事にからっぽだった。昨年1月に起きた「納豆ダイエット」騒動の教訓は、どこへいってしまったのだろう。
▼小欄もバナナは好物のひとつだが、今の季節はそれほど心引かれることはない。すぐ近くの売り場には、カキ、クリ、ブドウ、リンゴ、ナシと、国産の秋の味覚があふれているのだから。
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