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【産経抄】9月22日
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昨年、フジテレビ系列で放映されたドラマ「拝啓、父上様」のなかに、こんな場面があった。東京・神楽坂で料亭を営む女将(おかみ)が、野良猫にエサをやっていると、近所に住む若い主婦が文句を言ってきた。
▼八千草薫さんが演じる女将が、平謝りする姿を見ていると、気の毒になってくるけれど、猫の糞尿(ふんにょう)トラブルなどに悩む人にとっては、人ごとではないらしい。「猫たちにエサをやるばあさん」を「僕は蹴飛ばしたくなる」。犬好きで知られた作家の中野孝次が、鼎談(ていだん)集『犬は東に 日は西に』で、物騒な発言をしていた。
▼昔と違って野良犬がいなくなり、猫やカラスばかりが威張っている、というのだ。先週、東京都荒川区は、野良猫やカラスにむやみにエサを与えることを禁止する条例案を発表した。罰則まで付けるのは、全国で初めてだ。中野が存命だったら、感想を聞いてみたい気がする。
▼荒川区内では、自宅敷地内で大量のカラスを餌付けした悪質な例があり、住民から苦情があっても、やめさせる手だてがなかった。ただ、条例で規制すべき問題だろうか、といった疑問の声は、これから当然出てくるはずだ。
▼26日まで、動物愛護週間である。今、国内のペットの飼育数は、犬、猫あわせて2500万匹を超えている。人間関係が日に日に希薄になっていくなか、ペットが、日本人にとってなくてはならない存在になっていることがわかる。一方でサイエンスライターの竹内薫さんが、小紙で指摘したように、多くの犬や猫が、苦しみながら死んでいく、“動物愛護”の実態がある。
▼中野は、人間と犬の関係で問題となるのは、「人間の品性、品位」だと言って、鼎談を締めくくる。あらゆる動物との関係に、あてはまることだ。