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【お江戸単身ぐらし】(152)親子丼一丁!
よく利用する近所のミニスーパーの店員の顔ぶれが変わった。店はちょっと前、深夜営業から24時間営業に変わったのだが、年齢層がぐっと上がった。
これまで多かった茶髪のお兄さんや日本語のたどたどしいお姉さんに加え、リタイア後とおぼしきおじさん、あるいは孫のいそうなおばさんが慣れないレジ打ちをする。人ごとではないが覚えが悪い。対応が鈍い。
例えば時分時、狭い店内なので4つほど並ぶレジ前はあっという間に長蛇の列ができる。こんなとき、若き店員ならテンションを上げモーレツな勢いでさばいていくところが、年配者はおっとりと牛乳パックを手に「ヨコにしていいですか?」などとマニュアル通りだとは思うが、のんびり尋ね、モタモタ袋詰めをしたりする。
なので、そんな店員さんのレジは敬遠しがちだったのだが、最近は好んでその前に立つようになった。とりわけ、おばさんがいい。人の心を和ませる一言をつぶやく間合いがいいのだ。
急な雨でしぶしぶビニール傘を手にレジに並んだとき、「傘ばっかりたまっちゃうねえ」とさりげなく声をかけてきて、アレッと思った。こんな言葉、若い店員さんから聞いたことがない。お客さんだけではない。そばの若い同僚にも気軽に声をかけ、そのおばさんがいるだけで、あたりの空気がふわんと緩む屈託のなさがある。
よく言われる大阪のおばちゃんのノリだが、このノリは多分、大阪に限らない。全国共通のおばちゃん気質。若者中心の東京にあっては目立ちにくいが、気をつけていれば結構あちこちで発見できる。
ついこの前も、会社近くのそば屋さんで遭遇した。秋の健康診断も近く、ランチはあっさり済ませたいが、きょうは親子丼が食べたい。ここのはトロリとした半熟卵がたっぷりのっかって、おいしいのだ。でもコレステロールがなあ、と一瞬ためらって、「親子丼だと卵3個分は入ってますよねえ」と注文にもたついていると、間髪入れずおばさん店員の声が返ってきた。
「大丈夫。森光子さんは毎日、卵3個食べていらっしゃるようですよ」
そうですよね。じゃあ親子丼一丁!(編集委員 石野伸子)