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【Re:社会部】9年越しの記者冥利
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犯罪被害者家族の女性と再会しました。出会ったのは9年前。10代後半だった息子さんが友人5人と拉致され、5カ月間にわたり監禁された事件を通じてです。
犯人は東京・渋谷を拠点にする不良グループで、ありもしない覚醒剤を紛失したと因縁をつけて監禁。「逃げたら家族も殺す」と脅して建設現場で働かせ、賠償名目で給料を巻き上げていました。
女性から相談を受けたのは拉致から約1カ月後。警察は家出を疑い、捜査の動きは鈍かったそうです。「漁船で外国に行かされると手紙も来た。もう会えないのかも…」。悲壮感が漂っていました。
日常業務の傍ら、友人や被害者がよく遊びに来ていた渋谷の若者に聞き込みを続けました。春に始めた取材は夏の終わり、犯人の1人にたどりつきます。その矢先でした。「監禁場所から逃げ、保護された」と連絡がありました。
無事で何よりでしたが、もっと早く救出できなかったのかと無力感が残りました。「コメだけを渡され、塩をかけて食べていた」。被害者の監禁中の生活ぶりを聞けば、なおさらです。
ところが、女性との再会で9年越しの充実感を味わいました。飲食店で隣り合わせた若者を「息子にそっくり」と繰り返す、あのころとは別人のようなほほえみ。胸に染みました。無力でも、本気で被害者家族に寄り添ったからこその記者冥利なのでしょうか。
(尚)