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【街物語】(32)世界一の花火 打ち上げに込められた想い (1/3ページ)
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梅雨雲が散り、うだるような暑さとセミの声があたりを覆い尽くす。そんな季節になると、新潟県小千谷市片貝町の一画、浅原神社の境内脇で「片貝町煙火協会」の看板を掲げる集会所には、手書きのメッセージがつづられたA4用紙が1枚、また1枚と届くようになる。
「これをまとめて印刷した花火番付ができあがれば、いよいよだね」。煙火協会のメンバー、太刀川忠雄(65)がうれしそうにうなずく。
山あいにひっそりとたたずむこの小さな集落で、年に2日間だけ「世界一」という華々しい文字が躍る日がある。毎年9月9、10日に行われ、世界最大の花火「四尺玉」が唯一打ち上げられることで知られる花火大会「片貝まつり」。この日ばかりは、人口の何倍もの人が全国から集まり、町中がごった返す。
「四尺は他の花火と、音が全然違う。どっしーん、てさ」。忠雄が誇らしげに両手を広げながら、「でもね」と続ける。
「それだけじゃない。すべての花火に、町の人々の思いがのせられてるんだ」
町民らが打ち上げ費用を負担し、家族や友人、先祖への感謝、激励、追悼、決意とともに町の鎮守の社、浅原神社に捧げる1万5000発の「奉納煙火」。人々が400年前から守り続けてきた厳粛なる祈りの夜でもある。
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片貝まつりの目玉の一つは、新聞紙大の紙に印刷された花火番付だ。番付には時間や奉納者の名前だけでなく、打ち上げ時に会場で読み上げてもらうメッセージが記される。
平成17年。間近に迫ったまつりの番付を自社工場で印刷するために、メッセージの束を手にした位下(いげ)寿生(としお)(38)は驚いた。





