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【わたしの失敗】料理人・神田川俊郎さん(67)(3)
■好意がアダ「毒盛った」
古くからテレビの料理番組に出演してきた神田川は、ワイドショーでも主要な登場人物の1人になってしまったことがある。平成11年春に起きたサッチー・ミッチー騒動に巻き込まれたのだ。
野村沙知代と浅香光代がけんか状態になり、多くの芸能人らがサッチー派、ミッチー派に分かれて論争を繰り広げた。神田川は世間ではサッチー派とみられていた。
「(野村と浅香の)どっちとも仲がいいんですよ。2人に仲ようしてもらおうと思って間に入ったのに、逆に失敗ですよ」
神田川は仲裁のため2人にフグ鍋セットを送った。「春フグというのはおいしいんですわ」。神田川なりの気遣いがあったのだ。
ところが、このフグが騒動の新たな火種となる。ミッチー派の人物が「毒を盛った」という趣旨の発言をしたのをワイドショーなどが取り上げ、神田川への風当たりがにわかに強まった。
毎日朝から神田川の店にいやがらせの電話が100本以上かかってきた。手紙もあった。直接店にやってきて、いやみを言って帰る人もいたという。いやがらせは7、8カ月続いた。仕事にならなかった。
「本当に迷惑でした。でも、けんかしてる人の間に入るにはそれなりの覚悟がいる。覚悟しきれへんのやったら、余計なおせっかいはせんほうがええと後で思いました」
騒動はこれだけでは終わらなかった。騒動についてテレビ番組で神田川はデヴィ夫人と激しい論争を繰り広げた。デヴィ夫人は、神田川にひどいことを言われたとして侮辱罪で告訴する考えを表明。神田川はすぐに謝罪した。
「訴えるといわれたからではなく、自分が悪かったと思ったから素直に謝りました。そしたら今度は『だらしない』という人が出てきて。世間は難しい」
神田川は「人生、上り坂、下り坂、まさか」とよく口にする。騒動に巻き込まれたのは「まさか」。自分の予想をはるかに超えて物事が展開し、大きくなっていく。テレビの恐ろしさを思い知らされたできごとだった。=敬称略(文 青木勝洋)

