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【すごいぞ日本】ファイルVII 食は和にあり(2)

2008.8.30 03:19
このニュースのトピックスすごいぞ日本
かめびし屋17代目の岡田佳苗社長。右手に持っているのがソイソルト、左手は新開発したチョコレート=香川県東かがわ市(彦野公太朗撮影)かめびし屋17代目の岡田佳苗社長。右手に持っているのがソイソルト、左手は新開発したチョコレート=香川県東かがわ市(彦野公太朗撮影)

 ■伝統守り、変化恐れず

 ふりかけ式のしょうゆが新感覚の食材として、欧米でじわじわと普及している。255年の歴史を持つ香川県東かがわ市の「かめびし屋」は2年前、熟成された高級しょうゆを、フリーズドライ製法で粉末状にした新商品「ソイソルト」を発売した。インターネット販売で人気に火がつき、すでに売り上げの2割近くを占めるまでに急成長しているという。

 注目すべきなのは、売り上げの半分が米国とフランスへの輸出で占められていることだ。

 「混雑している時間帯は外し、自分が決めた店に1人で行ってランチを取る。それが始まりです」

 宝暦3(1753)年創業の「かめびし屋」で初の女性社長となった岡田佳苗さんは、語学力を生かした「アポ(予約)なしセールス」で米国販売の道筋をつけた。食事を終え、感想を聞きにきたマネジャーと雑談しながら「正体」を明かす。相手が興味を持ったところで持参したソイソルトを取り出し、シェフに届けてほしいと頼むのだ。

 うまくいけば厨房(ちゅうぼう)の反応があり、シェフと話すチャンスが生まれる。

 「普通のしょうゆと違う使い方ができることは、シェフが実物を見ればパッと分かってくれます」

 狙ったところだけに味付けができる。食材をぬらさない。仕上がりがきれい。従来の液体のしょうゆにはなかった利点を生かし、海外ではカルパッチョ、サラダなどによく使われる。

 度胸満点の飛び込みセールスによって、岡田さんはニューヨークの「アクアヴィット」、パリの「ル・ブリストルホテル」など数々の有名店でソイソルトの販売に成功した。

 かめびし屋は、機械に頼らず、むしろの上で麹(こうじ)を育てる製法を日本で唯一続ける伝統的な蔵元だ。父親の国義さんはその16代目。佳苗さんは少女時代、「家業が古臭くて恥ずかしい」と思っていた。したがって、跡を継ぐことなどはまったく考えず、国際交流基金に就職している。

 それなのに17代目の道を選んだのは、働いているうちに「自分には何も自信を持って語れることがない」と感じるようになったからだ。平成6年に実家に戻って修業を始めた。

 「伝統的な作り方は変えられない。それでも、商品のデザインなど新しくできる部分はある。時代を読み、切り捨てる部分と変えない部分をしっかり見極めることが重要です」

 老舗に新しい風が吹き始めた。かめびし屋ではソイソルト以降も、ソイビスキュイ(ビスケット)、ソイジェラート(シャーベット状の氷菓)など、新商品を次々に開発している。来年は、しょうゆに合う酸味が強いチョコレートをバレンタインデーの限定商品として販売する予定で、「プランタン銀座」など都心の有名店での扱いが次々と決定している。

 「伝統の底力を、新しい商品に吹き込みたいという気持ちでやってます。商品自体が伝統を語るような展開を目指しているが、まだまだ手探り」

 ソイソルトが開いた新たな市場。それは実は、しょうゆが日本の調味料から世界の味覚へと飛躍していく大きな土壌の上に咲く花でもあった。しょうゆ国際化の状況をもう少し見ていこう。(芦川雄大)

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かめびし屋17代目の岡田佳苗社長。右手に持っているのがソイソルト、左手は新開発したチョコレート=香川県東かがわ市(彦野公太朗撮影)

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