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【話の肖像画】あきらめるのはまだ早い(2)アルピニスト・野口健さん

2008.6.3 03:07
このニュースのトピックス地球の頂点へ 三浦雄一郎、75歳の挑戦
「イムジャ氷河湖」の前で「イムジャ氷河湖」の前で

 ■ヒマラヤに忍び寄る温暖化

 −−4月から5月にかけて、地球温暖化の影響で決壊の危険性がある氷河湖の調査などのためにヒマラヤへ行きましたね。そこで北京五輪の聖火をエベレストの頂上へ上げる「大騒動」に出くわしてしまった…

 野口 聖火を頂上に上げるまで中国側だけでなく、ネパール側でも、6400メートル以上に登ることが禁止され、われわれがいたベース・キャンプ(BC)でも“厳戒態勢”が敷かれました。ネパール領なのに中国の工作員とおぼしき連中がうようよいて、ビデオカメラを回すのも禁止、衛星電話も禁止。BCの上空では軍用機が飛んでいるのが見えました。まったく「異様な光景」でしたね。

 −−世界最高齢登頂を目指していた三浦雄一郎さんも、そのあおりで「中国側」から「ネパール側」への変更を余儀なくされました

 野口 三浦さんとは4月16日にBCの手前でお目にかかりましたが、大変なストレスだったと思いますよ。登山家は「命」をかけているんです。「自然相手」だけで精いっぱいなのに、こんな理不尽なことで、ストップをかけられてはたまりません。

 −−そのBCでは、まだ4月中旬なのに、氷河から流れ出した水で、いくつもの川ができていたそうですね

 野口 ネパール側のBCに来たのは5年ぶりですが、そのときは5月中旬になってようやく川ができていた。(氷河がとけるのが)1カ月も早くなってしまったわけです。麓(ふもと)のエベレスト街道に掛かる橋も去年の夏の増水で、すっかり流されてしまいました。温暖化の影響がかなりのスピードでやってきているのを見て衝撃を受けました。

 −−決壊の危険性が指摘される「イムジャ氷河湖」(標高5010メートルのエベレスト南方にあり、現在は東京ドーム32個分の水量にまで膨らんでいる)の現状はどうでしたか

 野口 ちょっと見では分かりにくいのですが、約15年間で35%も湖面が拡大しています。湖の横にある山の斜面に張り付いていた氷がとけているのもはっきりと分かりました。もしイムジャ氷河湖が決壊すれば、エベレスト街道沿いの村は大半が流されてしまうでしょう。ヒマラヤで特に村人たちがおびえているのが「今年の夏」です。春にあれだけ氷河がとけているのだから、夏にどれだけ水がでてくるか、想像もつきません。(喜多由浩)

                  ◇

【プロフィル】野口健

 のぐち・けん 昭和48(1973)年、米ボストン生まれ。25歳で7大陸最高峰世界最年少登頂記録を達成。地球環境問題に熱心に取り組む。

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「イムジャ氷河湖」の前で

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