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【すごいぞ日本】ファイルU 重厚長大健闘中(3) (1/2ページ)
■「常識」に挑戦した電車
北国の春は遅い。川崎重工業の新しい路面電車「SWIMO(スイモ)」の試験走行は3月中旬まで、雪の舞う札幌市でひと冬かけて行われた。厳しい気候のもとでこそ、生活の足としての路面電車のニーズも高まる。
広く低い床、どこにでも取り付けられる出入り口のドア、従来の車両に比べ乗降が楽で車内はゆったりしている。揺れも少ない。
しかも、スイモは架線がなくても電池で走る世界初の路面電車なのだ。
環境への負荷を極力抑え、一方で乗降客の利便性や快適性は向上させたい。いわば「人にも地球にも優しい」。この耳に心地よいフレーズがそう簡単に両立しないことは、車両製造100年の歴史を誇る川重技術陣には当然、分かっていた。車両カンパニーの奥保政本部長は「だからこそ世界に例のない路面電車をつくりたかった」という。
「常識にとらわれない姿勢が成功につながった」
雪の札幌で、開発陣はその手応えをしっかりと感じ取った。
お年寄りや障害を持つ人たちが安心して暮らせるバリアフリー社会の構築は環境対策と並ぶ21世紀の大きな課題である。世界に先駆けて高齢社会に突入した日本にはとりわけそのニーズが高い。
バリアフリーに対応した低床型路面電車はすでに実用化が始まっている。
だが、従来の車両では、床を低くすると車輪が床面に突き出し、どうしても床のスペースが狭くなる。
「2軸ある車輪のうち、片方の直径を250ミリに小さくできないか」
開発陣は奥本部長の言葉に耳を疑った。路面電車の車輪の直径は通常600ミリ程度。確かに250ミリの小径車輪なら床面に突き出さないので、車輪の上にもドアが配置できるし、座席のアレンジも多様になる。片方の610ミリの車輪とモーターは運転席の下に逃がせばいい。
だが、鉄道の世界では車輪の直径が360ミリ以下になると脱線するというのが常識だった。

