ニュース: 生活 RSS feed
【見つけた! みんなが輝く教育】最初から「怠けたい」と思う子はいない
先週の続きです。
2番目に、今、教育現場が必要なことは「勉強を怠けたがる子、勉強できなくてもいいと考える子がいる」という子供理解からの脱却です。これはLD(学習障害)やADHD(注意欠陥・多動性障害)的な傾向があったり、不登校や非行に走ったりする子供を取材して痛感することです。
なぜなら、読み書き推論や注意集中、対人関係などに課題のある子供は自分の見え方・聞こえ方・理解の仕方・学び方などが他の人と違うとは気がつきません。従来通りの方法で頑張っても成果は上がらず、そのうち自尊感情や自己評価は低下し、自分はバカだととらえることで状況を受け入れる。やがて本当にやる気がなくなっていきます。
広島などの少年院に入り、自分の認知と学習スタイルに応じた指導を集団および個別で受けたとき、それまで全くわからなかった九九や分数がスラスラ理解できるようになり、自分自身の変化に衝撃を受ける…。そのとき、彼らは共通して「自分はバカじゃなかった! やればできたんだ」と落涙します。そんな16、17歳の非行少年を多数見てきました。
ところが彼らの多くは小中学校時代に教師から「やる気がない」「怠けている」と言われ続けています。この発想が教える側にある限り、学び方の違う子供たちは常に見過ごされ、あるいは本人の努力不足のせいにされ、結果的に本人の教育を受ける権利や自立する権利、社会に参加する権利、市民として生きる権利などが侵害されていきます。
以前、取材した非行少年(16歳)が泣きながら言ったことが忘れられません。
「やる気がない、ダメなヤツと先生に言われ続け、自分なんかどうでもいいと思っていた。でも、少年院で勉強がわかるようになり、ダメ人間ではないと知った。出院したら、担任に僕はバカじゃなかったと言って見返したい」
最初から「怠けたい」「勉強できなくてもいい」と考える子は一人もいないのです。(教育ジャーナリスト 品川裕香)