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【主張】日本脳炎 予防接種の体制作り急げ
この夏、日本脳炎が流行する恐れが強まっている。予防にはワクチンの接種が望ましい。しかし、厚生労働省が副作用の問題から接種の「積極的推奨」を中止させたことで、子供に接種させようにも面倒な手続きが必要な上、ワクチン自体も不足しつつある。厚労省は副作用の少ない新ワクチンの量産体制を早急に築き上げる責任がある。
日本脳炎ウイルスはアジア全域に分布する。ブタの体内で増殖し、蚊(主にコガタアカイエカ)の媒介で人間へと感染する。ブタの生産地近くや海外の流行地では虫よけスプレーなどで蚊に刺されないよう注意してほしい。
蚊は日本脳炎以外の感染症も媒介する。発生源となる水たまりを作らないよう、日ごろから心がけることも大切だ。
日本脳炎は感染しても発症率は0・1〜1%程度だが、発症すれば40度近い高熱や頭痛、吐き気、下痢などに苦しみ、20〜40%が死亡する。回復後も20%は知能障害やまひが残るという。体力のない幼児や高齢者は用心が必要だ。
昭和30年代には年間2000人以上も日本脳炎患者が出ていた。だが、定期的なワクチンの接種で平成4年以降は患者数を10人以下に抑えてきた。副作用も100万回に1回程度で、他の感染症ワクチンに比べて危険性がとくに高いわけではなかった。
ところが、16年7月に山梨県の女子中学生が接種後に重篤な症状になる。これを重視した厚労省は翌年5月、「接種との因果関係を否定できない」との判断から、全国の自治体にそれまでの積極的推奨をやめるよう勧告した。
この対応については「ワクチンの有効性を軽視している」と疑問視する専門家もいたが、積極的推奨をやめた結果、4〜5歳の幼児の接種率は激減した。
ワクチン自体が生産されなくなり、在庫も来年中には底を突く。当初は副作用の少ない新ワクチンに切り替えていく予定だった。新ワクチンの審査が遅れ、3年たった今になっても実用化には至っていない。
今年の夏は、いまのところまだ患者発生の報告はない。しかし、国立感染症研究所の調査によれば、ブタの感染は例年を上回る流行ぶりという。
感染症の専門家は「ウイルスを持つ蚊が飛び回っている可能性がある」と警告している。