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【酒とジャズの日々】名演案内 ウエブスター・ヤング「ドント・エクスプレイン」
このニュースのトピックス:離婚&破局
店に入るとひなびたコルネットの音が響いていた。
刑務所とおぼしき高い塀に向かい、傘を手にたたずむ女性の後ろ姿−。
物語を内包した印象的なジャケット写真。ウエブスター・ヤングの『フォー・レディー』(1957年録音)である。
常連のA氏のリクエストだった。
「不意にこのジャケットが浮かんでね」
熟年離婚で1人暮らしをしているというA氏はギネスに口を付けた。
「レディー」とは「レディー・デイ」、つまりビリー・ホリデイのこと。ホリデイが亡くなる2年前に彼女にささげられた作品で、冒頭のタイトル曲をのぞいてすべてホリデイゆかりの曲になっている。
ウエブスター・ヤングのコルネットとポール・クィニシェットのテナーサックスの音が、どの曲でも内省的かつ沈痛に響く。音だけを聴けば、ホリデイの追悼盤と勘違いしてしまう。
1曲挙げるとすれば《ドント・エクスプレイン》だろう。会話するように切々と歌う管、それを支えるマル・ウォルドロンのピアノがこの上なく美しい。
《ドント・エクスプレイン》が終わったところでA氏がつぶやいた。
「言い訳しないで、と言われたって…ねえ、ご同輩」(桑原聡)

