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【いきいき】声楽家・林正子さん ポニョが広げる新たな世界 (1/2ページ)
ヒット中のアニメ映画「崖の上のポニョ」(宮崎駿監督)は藤岡藤巻と大橋のぞみさんが歌うかわいい主題歌が人気だが、実はもう一つ別な主題歌がある。このオープニングテーマ曲「海のおかあさん」を艶(つや)のあるソプラノで歌っている。
「お客さまは子供も多く、音楽を聴くのを目的にしていないので、まず言葉の色をきちんと伝えようと思いました。色とは、例えばリンゴなら“リ・ン・ゴ”という言葉ではなく、甘い、木になる赤い実といった実質的なイメージを喚起させる音色で伝えるということです」
昨年、同映画の音楽を担当した久石譲さんのコンサートにゲスト出演した縁で指名された。
「母なる海をテーマに『みんな、きょうだいだった』と歌うこの曲は、宮崎さんの、お母さまへの思いが込められていると感じます」
これまでモーツァルトのオペラ「コジ・ファン・トゥッテ」のフィオルディリージ役や年末恒例の「第九」など、声楽の第一線で活躍してきたが、実はプロになって日本語で歌うのは今回が初めてだったとか。
「この2年間は、ロック音楽を歌うCDを出したり、マイクを使って歌ったりと、初めて尽くしでした。度胸が付いたし、逆にクラシックの風景がよく見えるようになったんです」と、新たな挑戦も喜ぶ。
生活の拠点は2000年からスイス・ジュネーブ。ヨーロッパのオペラ界ではアジア人は役柄が限られ不利な条件だが、歌の師匠がいるから移住を決めた。
「自分一人で勉強はできないし、歩みは止めたくない。向かい合える先生がすぐ近くにいることが大事でした。東京は面白いものがたくさんあり楽しいのですが、成田空港に着くとジュネーブが恋しくなる。その逆もあるのですけどね」
ジュネーブでは「のどかさ」を大切にする。午後は、周囲に迷惑をかけないようシエスタ(昼寝)の時間をはずしてレッスンし、声を出せないときは楽譜を読む。
「リュックにパンとチーズを入れて自転車で国境を越えてフランスのワイナリーまでワインを飲みに行くんです。生活は音楽に作用します。山をトレッキングしたり、道ばたの光景など、実体験が歌うことの引き出しになっていますね」と自然体のジュネーブ暮らしを楽しむ。




