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【サブカルさーふぃん】マンガ 山崎紗也夏『シマシマ』(講談社モーニングKC)
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■女性は日々戦闘中
川端康成の名作文学「眠れる美女」は、美少女と添い寝できる宿に通う老人の話だった。少女たちとの間には、会話すらもない。ただ寝ているだけ。老い先短い男性が「いのちそのもの」を感じるために通う宿だ。ありそうでありえない、なさそうでありうるような、不思議な接客業を描いていた。
山崎紗也夏の『シマシマ』(講談社モーニングKC)は、さしずめ漫画版「眠れる美女」だ。といっても、添い寝してくれるのは美少女ではなくイケメン男子で、利用客は日常に疲れた現代女性。まだ若いのに「黄金の眠り」が手に入れられないストレスの中で生きる女性たちに、イケメン男子の厚い胸板は一晩の安息をもたらしてくれる。
こちらでもセックスはご法度だが、寝ているだけではなくコミュニケーションはある。話し上手でなくても、一緒にいて眠りに落ちてしまうような「心地よい退屈」が与えられるならばそれもヨシという、これまた不思議な接客業である。イケメン添い寝男子たちのキャラが、男性でありながら乙女チックだったり植物的だったりで、女性の方が「日々戦闘中」モードなのが現代的ともいえる。
こんな商売を考え出したヒロインもまた、離婚のショックから立ち直れない女性。夫の胸に抱かれて眠るあの感触が忘れられない。彼女がふたたび男性と接触する日は戻ってくるのかという揺れ動きの中にいるのが「一人では耐えがたい夜」に説得力をもたせている。(評論家 切通理作)

