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【豊饒の芸 藤十郎と上方歌舞伎】(下)花形若手 全国区の人気 (1/2ページ)
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いま、上方歌舞伎に追い風が吹いている。
上方歌舞伎の牽引(けんいん)車、坂田藤十郎の231年ぶりの大名跡復活が大きいのはもちろんだが、上方を拠点にする花形若手が全国的に注目される存在になったことも要因のひとつだ。
なかでも、大阪生まれの大阪育ち、端正な容姿と確かな実力で売り出し中の二枚目、片岡愛之助は多忙をきわめる日々。ここ5年、1日も休みがない。今年も1月から浅草歌舞伎や博多座、歌舞伎座、大阪松竹座、名古屋御園座…に出演し続け、今月は主演映画「築城せよ!」の撮影中。
「なんでこんなに忙しくなったんやろ…」。ふと10年前を振り返ってみる。
あのころはもっと“暇”だった。関西では歌舞伎公演自体が少なく、あっても大きな役がつかない。東京にいる同世代の役者の活躍に焦ったこともあった。
「でも東京に出ていこうとは思わなかった。僕は『大阪の子』ですから」
その後、光が当たり始める。自分の意志で女形から立役(たちやく)に転向。「平成若衆歌舞伎」で主役を演じ、5年前からは上方系の花形若手が結集した「浪花花形歌舞伎」で大役に挑み続けた。
「夏祭浪花鑑」の浪花の侠客(きょうかく)、団七九郎兵衛は毛穴の一つ一つから大阪のにおいが噴き出るよう。「義経千本桜・すし屋」のいがみの権太はいかにも大和の小悪党の雰囲気がむんむんしていた。ともに地の大阪弁が生きた役であった。
歌舞伎には上方を舞台にした芝居が多い。大阪弁を操り、大阪の生活感をにじませることのできる愛之助は希少な存在だ。「上方歌舞伎のためもっと頑張りたいと思っています」

