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【人】傘寿で「藤娘」を踊る 中村芝翫さん (1/2ページ)
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■「歌舞伎は今が盛況。下げないように」
真っ暗な舞台が突然パッと明るくなって、辺り一面に紫の花が咲いた。木陰から花房を持って現れた藤の精は、娘心と恋模様のはかなさ、愛らしさを、柔らかい身ぶり、あでやかな表情で舞い踊る。
「こうした踊りはあどけない時分かおじいさんになってからやるものだと、大先輩たちもおっしゃっていました。ありがたいことに足腰が衰えていないので、みっともない踊りはしなくて済みます」としみじみと話す。
26日まで東京・東銀座の歌舞伎座で行われている「芸術祭十月大歌舞伎」の昼の部で、締めくくりの「藤娘」を披露している。自ら副題に「ご贔屓(ひいき)を傘に戴(いただ)く」とつけているように今年傘寿を迎えたが、とても80歳とは思えない若々しさ、初々しさで、20分以上を一人で踊る。
数ある「藤娘」の振り付けの中から、あえて最も難しいものを選んだ。大津絵の中から娘が飛び出すという趣向だったのを、師匠に当たる六代目尾上菊五郎が藤の精の踊りに変えたものだ。「そばで見ていたので、しっかりと覚えています」と名優の面影を追う。

