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【緒形拳さん死去】老い感じさせぬ骨太の演技
緒形拳さんの遺作となったテレビドラマ「風のガーデン」は、倉本聰脚本の「死」をテーマにした作品だった。緒形さんは、絶縁状態にあった末期がんの息子の死と向き合う医師を演じた。
北海道のロケで会見した緒形さんは、息子との和解のシーンを控え「大きな山場なので、頭がいっぱい。今、質問に答えられない」と言葉少なに答えた。約200本のドラマに出演してきた大ベテランながら、1本1本の作品へのこだわりを見せつけた。
高校卒業後、新国劇のスター、辰巳柳太郎さんにあこがれ、20歳で弟子入り。辰巳さんは劇団の将来を託そうと、緒形さんを付き人にしてかわいがったが、やがて2人はたもとを分かつ。
NHKの大河ドラマ「太閤記」などでお茶の間の人気を得た緒形さんは「自由がほしい」と突然、宣言し劇団を退団、辰巳を激怒させるが、新国劇の解散が決まった昭和62年、最後の公演に招かれ「王将」の坂田三吉を演じ、師匠に恩を返した。
生涯の映画出演本数は60本以上に上り、男臭い骨太の役を得意にした。連続殺人犯を鬼気迫る形相で演じた「復讐するは我にあり」、母を捨てる息子の葛藤を痛々しいまでに演じた「楢山節考」では今村昌平監督と、破天荒な葛飾北斎を演じた「北斎漫画」では新藤兼人監督と組むなど、そのぎらぎらした強烈な個性は映画界の重鎮監督たちから愛された。
最後の映画作品となった「ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌」では、約50年におよぶ俳優人生で初の特殊メークに挑み、大妖怪「ぬらりひょん」を演じるなど、老いを感じさせない意欲的な面を見せた。
ドラマ「風のガーデン」がクランプアップした9月末。緒形さんは会見で「いや応なく人って老いていくわけで、それで病になるわけで、そしていや応なく死が訪れるわけで…」と語った。まるで自身の人生を暗示するかのような言葉だった。