[PR]
ニュース: エンタメ RSS feed
【WOWOW】ミッドナイトイーグル 21日(日)後7・40
人は自分たちのレベルに応じた政府や政治家しか持つことができない、とはよく言われることだが、冒険小説についても、自分たちのレベルに応じた冒険小説しか持つことができないのではあるまいか。そう考えると、高嶋哲夫の『ミッドナイトイーグル』という冒険小説が書かれたのは、ちょっとした僥倖(ぎょうこう)かもしれない。
人生に挫折した報道カメラマンの主人公が、北アルプスに何かが墜落するのを目撃。それを追って厳寒の冬山に入り、世界を揺るがす大事件に巻き込まれていく。大人向けの娯楽小説として過不足のないリアリティーを備えながら、荒唐無稽(むけい)になるぎりぎりのところまで想像力を伸ばし、個人の物語と社会の物語を無理なく重ね合わせて奥行きを感じさせる傑作だった。
この『ミッドナイトイーグル』が映画化されたのだから見ずにはいられない。見どころとしてまず挙げたいのは、実際に雪の降り積もる冬山でロケ撮影を敢行していること。スコープサイズの画面いっぱいに広がる風景の迫力は、映画ならではのものだろう。
劇中で「見岳沢」と呼ばれている墜落地点は、俯瞰(ふかん)シーンや地図から見て、原作と同じ、槍ケ岳の手前の天狗原(氷河公園・標高2500メートル)のことだと思われる。冬季の猛吹雪の中、ここまで登るなど、北アルプスを知る人ならまずあり得ないと断言するに違いない、過酷で危険な山行なのである。
ここで、主人公たち2人が地元出身で、高校以来の山岳部のパートナーとして「冬の北アルプスを庭のように知り尽くしている」という設定が生きてくる。完全武装の外国潜入部隊や自衛隊レンジャーを相手に、民間人2人が活躍する余地があるのは、この設定のおかげなのだ。(映画評論家 添野知生)
このニュースの写真
関連ニュース
[PR]
[PR]

