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【人、瞬間(ひととき)】あの言葉 落語家・桂文珍さん(59)(中) (1/2ページ)

2008.7.30 08:01
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そんな怖いこと、ようしまんなぁ…

 「あんさん、レギュラーのテレビよう見ますけど、何本出てはりますの? 13本? そんな怖いこと、ようしまんなぁ…」

 40代の初め、雑誌のインタビューでベテラン喜劇役者、藤山寛美と対談した。大先輩の口からは、思いがけない言葉が飛び出した。

 20代のころ上方若手落語家4人のユニット「ザ・パンダ」に参加してテレビのバラエティー番組で人気を集めた。30代のときシンセサイザーを取り入れた落語で注目され、クイズ番組、報道番組のキャスター、CMなど、テレビやラジオの売れっ子タレントとして忙しい日々を送っていた。

 「レギュラーを13本抱えている、と聞いたら、いいですね、すごいですね、というのが普通の人。だけど寛美さんは違いました。テレビの仕事はいずれ消えてしまう。しっかり(芸の)腕を磨かず、そんなもんに頼ってたら(芸人として)消えてしまいますよ、ということなんですね」

 大先輩の助言を受け止め、徐々にメディアの仕事を整理していった。今はほとんどテレビには出ない。自ら「ホームグラウンド」と呼ぶ、大阪のなんばグランド花月(NGK)の出演と、全国各地に出かけて落語を披露する独演会の二本立てで落語に取り組んでいる。

 漫才や新喜劇が主役となるNGKでは、観客はさまざまな笑いが登場する“バラエティーとしての寄席”を楽しむ。そういう場に合った落語を提供する。「こってりしたステーキ(漫才)ばっかり食べたら、さっぱりしたお茶漬け(落語)を食べたくなるでしょ?」。一方、独演会ではじっくりと聴いて、落語の魅力をより深く味わってもらえるようにと考える。

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