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【話の肖像画】東西とーざい(5)演劇研究家・河竹登志夫さん
■「現代の黙阿弥」いでよ
−−今の「歌舞伎ブーム」をどうみていますか
河竹 若手のスターがたくさん出てきましたからね。彼らがテレビドラマにも出る。そうすると「本物」を劇場に見に行こうか、となるんじゃないですか。
ひところ歌舞伎は「古い」と言われましたが、今の若い人たちにとっては、現実離れした空間であり、カッコイイものなのです。ちょっと古い言い方をすると「前衛性」。それはテレビにはないものでしょう。そういう意味では、外国人の反応と若い人たちの反応は似ている。エキゾチックなもの、異国のものへの“あこがれ”があるんだと思いますね。
−−国立劇場でやっている高校生のための鑑賞教室も人気に貢献しているのではありませんか。最近では、社会人向けの鑑賞教室もあります
河竹 影響は大きいと思います。生徒で見に来た人が、今度は引率の先生になっていたりね。鑑賞教室に来た人の何パーセントでも、歌舞伎に関心を持ってくれればいいんです。
国立劇場は、人材の養成機関としての役割も担っています。芯になる人は別にしても、いまでは、半数近くが、研修生育ち。研修生がいなければ芝居ができません。まだまだ後継者不足が解消されたとまでは言えませんが、養成機関がなかったら、もっとひどいことになっていたでしょうね。
−−最近の演目の中には、異分野の演出家をつけて、従来の歌舞伎の枠から大きくはみ出したように見える芝居もあります。あれは果たして「歌舞伎」なんでしょうか
河竹 歌舞伎にのっとった現代劇、「歌舞伎的現代演劇」というべきものでしょうかね。こうしたことは昔からいくらも行われている。(明治の)九代目の団十郎もやりました。歌舞伎には伝統的なものもあれば、現代的なものもあっていい。根っこさえ、しっかり歌舞伎に置いていればいいでしょう。
−−歌舞伎の新作についてはどう評価していますか
河竹 国立劇場や松竹でも脚本を募集しています。まれに良い物がありますが、昔の岡本綺堂とか長谷川伸とか、常時、レベルが高いものを書ける人はなかなかいないようですね。新しい作品が出てきてこそ、古典も引き立つ。競り合うべきなのです。それこそ「現代の黙阿弥」が出てこないとね。=おわり(喜多由浩)
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【プロフィル】河竹登志夫
かわたけ・としお 大正13年、東京生まれ。早稲田大学教授、日本演劇学会会長などを歴任。文化功労者。江戸歌舞伎作者、河竹黙阿弥の曾孫。

