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【産経抄】10月5日
このニュースのトピックス:強盗事件
映画などに出てくる銀行強盗といえば、銃を銀行員に突きつけ金庫を開けさせる。だが、おおばともみつ氏の『世界ビジネスジョーク集』によれば、1988年暮れのワシントン・ポスト紙にあべこべの漫画が載っていた。貯蓄銀行の破綻(はたん)が起きていたころだ。
▼貯蓄銀行から洋服を引き裂かれた男が帰ろうとし、カウンターの正面では3人の男女がホールド・アップしている。中からピストルを突きつけているのは銀行員だった。「預金をおろすな」と言っているのか「預金しろ」なのかは分からなかったという。
▼S&Lと呼ばれる貯蓄銀行は当時「3・6・3の銀行」と言われたそうだ。3%の金利で預金を集め、6%で貸し付け、3時には経営者はゴルフ場にいる−というものだった。いずれも20年前とはいえ、米国の銀行などの高姿勢を痛烈に皮肉ったジョークである。
▼その米金融機関の不良資産を、国が買い取る金融安定化法がようやく成立した。政府と議会が成立で合意したのに下院が否決、修正を加え上院、下院の順に可決する。まるで日本のネジレ国会下のような難産だった。下院では60人近くが反対から賛成に転じたことになる。
▼修正のポイントは、選挙を前に米国民の金融機関への反発や懸念をどう和らげるかだったようだ。銀行などが破綻したときに保護される預金の上限を大幅に上げた。「少なくとも国民にホールド・アップさせるようなことはしません」ということなのだろう。
▼安定化法の成立で「恐慌」の心配はやや、薄らいだといえる。しかしウォール街には「3時からゴルフ場」は知らないが、大統領の何倍もの報酬を得ている経営者もいるという。その経営責任も問われない限り納得できない人も多いはずだ。