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【わが道わが友】新日本石油会長・渡文明氏(4)
■「誠心誠意」で中国ビジネス拡大
日石三菱から新日本石油に社名を変更し、合併が軌道に乗り始めたのは平成15年ごろ。そのころから、新たな事業の課題として海外展開が浮上し始めた。少子高齢化や省エネルギーの進展により、石油の国内需要が徐々に減少する中で、需要が急拡大を始めた中国ビジネスは、製油所設備の稼働率向上という点からも喫緊の課題だった。
中国には中国石油天然气集団公司(CNPC)と中国石油化工集団公司(シノペック)の2大石油企業がある。当時、シノペックとは合弁会社を展開していたが、中国東北部に強いCNPCとも関係を強化しようと働きかけ、16年にCNPC傘下の中国連合石油有限責任公司(チャイナオイル)との間で受託精製契約締結にこぎ着けた。以来、チャイナオイル総裁の王立華さんとは、毎年のように日中を行き来し、互いに自国の名所旧跡を案内し合っている。
提携間もない16年9月に案内されたのは、シルクロードの分岐点として栄えた中国・敦煌(とんこう)。ゴビ砂漠の雄大な景観に圧倒されるとともに、中国の歴史や大地に誇りをもって、懇切丁寧に案内役を務める王さんの姿にも共感した。
日本にも同じように誇るべきことは多いはずだが、最近の日本人が自国への信頼や誇りを表に出さないのは寂しい限りだ。もっと日本の良さをアピールしてこそ、お互いの理解も深まるはずだ。そう思って私もその後、北海道・洞爺湖や石川・金沢など、いろいろ案内した。年を重ねるごとに理解も深まり、日量2万バレルの受託精製で始まった事業も、いまや日量7万バレルと3倍以上に増えた。
今年5月には新日石とCNPCが大阪製油所(大阪府高石市)を共同運営する合弁事業に調印した。CNPC総経理(最高経営責任者)の蒋潔敏氏との間を最初に取り持ってくれたのも王さんだった。
昨年4月の温家宝首相の訪日時に、馬凱国家発展改革委員会主任と甘利明経済産業相の立ち会いのもと、蒋氏と長期的な事業協力の覚書を交換したのを契機に協力関係が本格化。9月に蒋氏に招かれて、釣魚台で具体的な事業連携を協議した。
蒋氏から石油需要の高まりを背景に、中国以外で製油所を造りたいという提案があった。日本は石油需要減少で製油所の精製能力が余剰となっており、その対策が急務だった。そこで私は、わが社の製油所の中で輸出の地の利と精製能力を勘案し、大阪製油所の合弁化を提示した。共同運営としたことで一歩踏み込んだ安定的な関係を構築できたのは大きな成果だ。
蒋氏や王さんをはじめとする中国のパートナーと良好な関係を築けたのは、互いに誠心誠意つきあってきたからだ。『誠心誠意』は私にとって商売の基本であり、日中が互いに良い隣人となるためのカギだとも思う。

