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【わが道わが友】太平洋セメント会長・鮫島章男氏(5)
■温暖化防止に有効な産業別アプローチ
平成18年から日本経団連の環境安全委員会共同委員長を仰せつかるなど、地球環境問題について考える機会が多いが、地球の環境を人間の力だけで変えられると思うのは、すごく思い上がった考え方だと、ふと思うことがある。地球は46億年の長い歴史の中で温暖期と氷河期を繰り返し、地球上に生息する動植物も大きく変化してきたからだ。
ただし、人間が石油、石炭などの化石エネルギーを使うことによって地球温暖化ガスである二酸化炭素(CO2)を排出してきたのは事実なので、これは何とかしなければいけない。人類が存続するために、先進国と途上国の違いにかかわらず、世界中で温暖化防止に取り組まなければならない。CO2排出削減のための制約条件については、これから経済発展をしようとする途上国には緩くして、先進国には厳しくするという差をつける必要はあるだろうが、地球上に存在するあらゆる国が参加しないと、温暖化問題は解決しないだろう。
CO2排出削減が必要なことはわかっていても、具体策の各論になると、それぞれの国が自国に有利な主張をするので、その辺の折り合いをどうつけていくのか、難しい問題だ。
その点、福田康夫首相が世界に向けて提案してきたセクター別(産業別)アプローチが非常に現実的だと思う。国の枠を取り払い、産業ごとに省エネルギー目標を作り、対策が進んでいる国が遅れている国に教えていくという方法だからだ。
ちなみに、セメント産業は、「持続可能な発展のための世界経済人会議」(WBCSD)のセメント部会で、セクター別アプローチの検討を進めている。世界の大手18社が加盟する組織で、すでに世界のセメント工場の7割程度からCO2排出量に関するデータを収集。これから削減モデルやターゲットを策定しようという段階にある。鉄鋼、電力などと並び、温暖化防止に向けた国際協調が進んでいる産業といえよう。ただ、セメント生産量の大きい中国が参加していないので、いかに中国を巻き込んでいくかが今後の課題だ。
また、日米豪中韓印加7カ国の官民で構成する「クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ」(APP)のセメントセクターは日本が議長国だ。巨大CO2排出国の米国と中国が参加する組織なので、こちらの活動も重視していきたい。
私が日本国内の対策の一つとして提案したいのは、サマータイム制度の導入だ。エアコンと照明の2つの省エネ効果が期待されるが、中でも照明は確実に省エネできるという試算がある。導入に伴うコストもそんなにかからない。先進国の中で導入していないのは日本だけなので、温暖化防止に役立つのだからやってみるべきだと思う。(原誠)
※次回は17日から。アサヒビール会長の池田弘一氏です。

